マンション管理士の独り言・・・1354
「残戸数」
分譲マンションの広告では、消費者が不要な誤解を招かないように諸々の規定が定められています。
「不当景品類及び不当表示防止法」(略称:景品表示法)がもととなる法律で“不動産の表示に関する公正競争規約”が定められています。
例えば“駅から徒歩〇分”という記載でも、早歩きの人なら5分で行けても、遅い歩きの人ならば8分かかったりします。歩く人の速さに関係なく1分80mと決められています。
このように客観的基準が設けられているのです。
また、キャッチフレーズについても使用してはいけないモノが沢山あります。
「絶景」「完璧」「絶対」「地区NO1」「厳選」「特別」「最高」「激安」などがこれに該当します。
これらのキャッチフレーズは人によって見方や感じ方が異なりますし、客観的基準が設定できないようなフレーズは使用禁止です。
反対に必ず記載しなければいけないものも定められています。
用途地域・構造・竣工予定・売主・分譲後の所有形態・販売価格などです。チラシの裏の端っこに小さく書かれている物件概要がこれに該当します。
販売戸数も必ず記載しなければならないものです。「総戸数○○戸」って記載されています。
以前は、「総戸数○○戸」という記載ではなく、実際に今売ることのできる戸数を表示することが一般的でした。
販売開始直後は「総戸数50戸」がそのまま販売戸数なのですが、販売が進むにつれて契約戸数も伸びていきますので、販売開始1か月後のチラシではその1か月間で売れた戸数(仮に10戸)が引かれて「販売戸数40戸」と表示されていました。
1か月間でどのくらい売れたかが知ることが出来たので、人気物件かそうでないのかを判断することが出来ていました。
ところが現在では、売れ行きを知られたくないのか販売開始から年々経っても「総戸数50戸」と表示されたままです。
販売センターに行くと「残5戸」と大見出しが掲げられていたり、また営業マンも「残5戸なのでお早めに」なんてお尻を叩きますが、この「残戸数」は眉唾物です。
「総戸数50戸」のマンションで45戸売れていれば「残5戸」なのでしょうが、この“売れている”というのが何を指すのかは各売主さんでまた同じ売主さんであっても、販売センターやセンター長の考え方で異なるのです。
“売れている”って状態を業界で統一しているわけではありません。
マンションを購入し引き渡しまでの事務手続きは、仮押さえ~申し込み~契約締結~引き渡しと進みます。
この過程のどこを「売れている」ってするのかについては明確な基準があるわけではないのです。
「引き渡し」まで済んでいれば、“売れている”っていう状態で間違いありません。
しかし「契約締結」であっても、手付金放棄してキャンセルってこともあります。
「申し込み」なんて、それが「契約締結」まで進むのは8%程度ではないでしょうか。
「申し込み」したものの、ローン審査に落ちちゃった、親族から反対された、って理由で「申し込みキャンセル」なんてよくあるパターンです。
次回ももう少し「残戸数」についてつぶやきます。