マンション管理士の独り言・・・1357

マンション管理士の独り言・・・1357

「北九州市長選」

2月5日が北九州市長選挙の投票日です。自転車こいで行ってきます。

つぶやき主みたいな消費税以外はほとんど納税していない低所得者にでも投票権があります。有難いことです。

低所得でも、性格悪くても、18歳過ぎていれば高所得の人と同じように1票与えられます。公職選挙法で18歳以上の日本国民は等しく1票です。

これを“当たり前”と捉えるかというと、実はそうでもなく公職選挙法の方がイレギュラーだと言えます。

マンションに関係する人ならばお分かりでしょうが、マンションライフの元となる「建物の区分所有などに関する法律」(略称:区分所有法)では、マンション購入者は等しく1票ではありません。原則は、その所有する専有部分の面積に比例すると定められています。

50㎡の住戸を購入した人は、専有面積の合計を分母として、そのうちの50が共有持分であって、議決権も同様に50となります。

100㎡の住戸を買った人は、全体のうち100が共有持ち分で議決権も同様に全体の100となります。

ただし実際には住戸面積は、50とか100とかの切りのいい数字ではありません。

仮に65,43㎡ならば100倍して6,543が所有する議決権となります。

しかしこれでは、総会では電卓片手に4桁や5桁の数字の足し算を延々と行わなければならなくなるので、1住戸1票としているのです。

区分所有法をより実際に即したものにしている標準管理規約では、「面積差があまりない場合は同じく1票でもよい」となっています。

「面積差があまりない場合」とは、どれくらいの範囲までを指すのかについては明確な基準はありませんが、1,5倍以内というのが多数説です。

面積差が1,5倍以上ありながら、しかも管理費などを面積比で負担している場合に同じく1票ならば違法とされる可能性大です。

50㎡の住戸を購入した人が、管理費を5,000円、修繕積立金を5,000円負担しているならば、100㎡を購入した人は、管理費10,000円、修繕積立金10,000円となっています。

多くのマンションでそうなっています。管理費や修繕積立金の負担は住戸面積に比例しているからです。

この場合で、議決権が同じく1票なら、100㎡を購入した人は不合理です。

管理費や修繕積立金を50㎡の住戸所有者の2倍負担しているのだから、議決権も2倍よこせ、ってなり、事実区分所有法もその考え方に立脚しています。

また、企業の株主総会での議決権割合も株主1人当たり1票ではなく、保有する株1について1議決権となっています。

以前営業マン研修で、このことを話すと、専有面積に比例して議決権を付与している区分所有法の考え方が間違っている、所有する専有面積にかかわらず等しく1票であるべきだ、と主張する人がいました。

その方がどう考えようとその方の自由ですが、区分所有法は住戸面積割合に比例して共有持ち分と議決権割合を決めているのです。

法律でそうなっている以上、それに従って行動するのが法治国家に住む人間のルールです。

公職選挙法は、こんなつぶやき主にも1票与えてくれています。大事にしなきゃ、です。