マンション管理士の独り言・・・1392

マンション管理士の独り言・・・1392

「議事録閲覧・・・①」

議事録の閲覧についてまとめました。

ほとんどの管理組合の規約は、標準管理規約に沿って策定されていますので、標準管理規約をベースにつぶやきます。

標準管理規約第49条には「理事長は、議事録を保管し組合員や利害関係人などからの書面請求あった時は議事録を閲覧させなければならない」、また53条では、「理事会議事録についても第49条同様」と規定されています。

更に64・65条で閲覧できるものとして「会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿、長期修繕計画書、設計図書、修繕の履歴」があげられています。

いずれの書類の閲覧要請に対しても、「理事長は閲覧につき、相当の日時、場所などを指定できる」とされています。

上記のように閲覧させなければならない文書は規定されていますが、例えば総会議案書に添付された収支決算案や貸借対照表、預金残高証明書などの閲覧までも認めなければならないか?

通常議事録にはこれら帳票などは添付しませんし、また規約でも議事の経過及びその結果を記し議長の他2名の者の議事録への署名捺印が求められているだけです。

実際にこれら総会添付資料の閲覧を認めるかどうかが争われた裁判例があります。

東京地裁平成26年9月18日です。東京地裁は、“管理規約で想定している議事録には、これら帳票類は含まれない、したがって閲覧させなくてよい”と判事しました。

また、閲覧請求できるのは組合員や利害関係者ですが、この場合の利害関係人とは、敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはなりません。

もう専有部分を売却してしまったが、かつて区分所有者だった者の閲覧請求を認めるかどうかが争われた事件がありました。東京高裁平成14年8月28日です。

高裁は“マンションの持ち分を譲渡した場合には、利害関係人には該当しない”と判事しています。

「理事長は閲覧につき、相当の日時、場所などを指定できる」の意味は閲覧請求者の嫌がらせを防止する意味です。

たとえば、夜間など不適切な時間に閲覧を求める場合、不必要に何回も閲覧請求を行う場合、などです。

但し、規約の閲覧であって、提供までは含まれていませんので、提供は拒否できます。

つまり原本の貸し出し・持ち出しは拒否できるのですが、では謄写(コピー)あるいはデジカメやスマートフォンでの撮影は認められるかについては判断が分かれています。

それは次回で。