マンション管理士の独り言・・・1395

マンション管理士の独り言・・・1395

「不在区分所有者協力金・・・その2」

不在区分所有者(外部所有者、外部オーナー)はそのマンションに住んでいないことにより管理組合に手間暇、別途お金の負担をかけています。

総会議案書を送る際の封入作業や、往復の切手代などです。

また、多くの管理組合では規約で役員就任要件を「現にそのマンションに住む組合員」に限っていますので、結果的に不在区分所有者は役員に就任しなくて良い、となっています。

「不在区分所有者は役員に就任しなくていい上に、管理組合が適正に行われているので、貸している住戸が高い家賃が設定できている。組合員としての義務は果たしていないのに、一方的に利益だけを得ている、これって不公平でしょ」ってことで不在区分所有者協力金を課す管理組合さんが増えてきました。

最高裁が、“不在区分所有者協力金2500円が有効”とお墨付きを与えたことも拍車をかけているようです。

実際に不在区分所有者には、住んでいないことによる手間暇、お金(切手代など)がかかっていることは事実なので協力金の額は別にしても、別途費用をご負担いただくのは合理的だと言えます。

ただしこのようにするには注意が必要です。

先ずは規約を改正しなければなりません。標準管理規約では、第25条(管理費など費用の負担)に、一、管理費 二、修繕積立金 とありますがこれに 三、不在区分所有者協力金 を加筆しなければなりません。

また、出来れば、三、不在区分所有者協力金については、総会の決議でその額や徴収開始時期を決める、とすることが望ましいと考えます。

また、役員についてもその就任要件が、「現に居住する組合員」となっていればこれを削除しなければなりません。

不在区分所有者を規約で「そこに住んでいないから役員に就任できない」と規定していながら、その一方で「役員に就任しないのだから不在区分所有者協力金を負担しる」というのは理にかなっていません。

不在区分所有者が必ずしも遠方に住んでいるとは限りません。

マンションの近くに住んでいて、理事会にも参加できるよ、って方もいるかもしれません。

「自分はそのマンションに住んではいないけど、近くだから理事会にも参加できる。役員に就任しても構わない。それなのに規約で“そこに住んでいないから役員に就任できない”と規定されているから役員になれない。それで“役員にならない”からって理由で不在区分所有者協力金を負担しろ、っていうのはオカシイだろ」ってなります。

事実、最高裁判決が出されたときに1部の法律家からこのようは意見が出されています。

今後、賃貸住戸が増え、実際にそのマンションに住んでいる区分所有者が減ってきてしかも高齢化が進んでいく状況で、役員の成り手不足がクローズアップされてきます。

「この前役員をしたばっかりなのに、もう役員しなきゃならないの。不公平だろ」って声が上がってくることが予想されます。

不在区分所有者協力金を徴収することは避けて通れないことになるようです。