マンション管理士の独り言・・・1408

マンション管理士の独り言・・・1408

「文明の進歩に追いつけない、その2」

前回は、分譲当初はなかったけれど科学の進歩や企業の創意工夫などにより現れた設備や仕様についてマンション管理組合の困惑や対応への難しさをつぶやきました。

今回は続編です。もし以下につぶやく設備や仕様を“取り入れよう”“組み込もう”とする管理組合さんあれば、ご面倒でもこの手順が必要ってことです。

先ずは、一括受電システムです。現在戸別で契約している電力供給方法を、マンション全戸一括で契約しようとするものです。

供給先として代表的なものが、M・E・Mです。これにより九州電力との契約と比較して約12%割引された電気料金ですむこととなります。しかし、同社以外の電力小売業者との契約に変更できないなどのしばりもあります。

電力供給方法を現在戸別となっているものをマンション全戸一括に変更することは可能です。

しかし全戸一括というのが例外なしの原則なので、組合員全員の承諾が必要ということに成ります。

規約改正が3/4、建て替えでさえ4/5の特別決議なのに、全員の賛成が必要となります。とても高いハードルですが、結構変更できている組合さんもあるようです。

3年に1度メンテナンスのため、半日程度停電することがありますので、留意必要です。

共用部に限らず専有部でもおおむね半日程度、マンション内全てで停電となります。

続いては、電気自動車用コンセント設置です。ここ数年内に新築されたマンションでは、初めからこのコンセントは設置されていますが、築後5年以上のマンションには設置されていません。

このコンセントを設置するためには先ずは場所確保できるかどうかです。

当然ですが、分譲マンションにおいて電気自動車用充電器を設置しようとする場合は、総会の決議が必要となります。

「新たに駐車区画を設置しそこに充電器を設置 → 特別決議」「既にある駐車区画に充電器を設置 → 普通決議」です。

更に課金方法(使用料金支払い方法)について細則で定める必要があります。

課金方法には大きく3つあります。

①使用した電力量単位での課金

 これは使用した電力量に応じて「1kwh:○円」とする方法です。使用した分だけの明確な課金となりますが、計量法に基づく試験に合格した電力量計を使用しなければならない、電力量の検針を管理組合で行わなければならないなどの手間暇がかかります。また利用者ごとに料金が異なるため管理費上乗せ徴収の方法が取りにくいなどのデメリットが考えられます。

②充電時間または充電階数で課金

 充電時間に応じて「1分:○円」と課金したり、回数に応じて「1回:〇円」とする方法。使用した電力量に応じていない、利用者ごとに料金が異なるので、管理費上乗せ徴収をしにくいなどのデメリットがあります。

③利用者に定額を上乗せして課金

 充電設備を利用するものに一定額を管理費に上乗せして課金する方法。使用料が多いものも、少ないものも同じ料金になるというデメリットあるが、料金の徴収が容易というメリットもあります。

また、設置するコンセントも、「壁付け」「自立型」「急速充電型」を選定することが必要でそれぞれ設置費用が大きく異なってきます。

マンション敷地内に電気自動車用コンセントを設置するのはかなりハードルが高いというのが現実です。