マンション管理士の独り言・・・1410

マンション管理士の独り言・・・1410

「8月13日朝日新聞記事」

独り言には、ご熱心な読者がいるようです。

また、ご同業にも読まれており、ご批判をいただくこともありますが、多くはお褒めの言葉であり、また情報提供いただくこともあります。

13日付け朝日新聞朝刊は、この情報提供でした。有難うございました。

この記事を読んだ感想は、“新聞としてこのような事例がはびこりだしていますよ、という紹介だけだな、しかし踏み込みが足りない、というものでした。

記事の概略は、「理事会も監事もなく管理会社が理事長(=管理者)となって、管理運営している。理事にならなくていい分だけ負担は軽減されているが、工事代金は近隣より割高になっているし、修繕積立金も貯まっていない、管理会社そのものが工事を受注する場合もあり、利益相反の懸念がある。」ってものです。

要するに管理会社に食い物にされている。ってことです。

この記事自体は問題提起として誤っているわけではありませんが、如何せん踏み込みが甘いと言わざるを得ません。

北九州でも、この第3者管理方式を熱心に推進している管理会社さんがあります。

自社が管理している既存の管理組合さんにも熱心にこの第3者管理方式への移行を進めているようです。

この管理会社さんの手法は、分譲当初から第3者管理方式としています。

第3者管理方式のメリットオンパレードの冊子を作りマンション購入者へ刷り込みます。さらに、これが非常に狡猾なのですが、管理規約から「役員(監事含む)」「理事会」という章をそっくり抜け落としています。

朝日新聞の管理組合では“このままでは拙い”と思って急ぎ理事会を立ち上げ、理事長にも組合員が就任したってなっていました。

これはおそらく管理規約に「役員(監事含む)」「理事会」という章が記載されていたからできたのであって、この章がなければ、先ずは管理規約の改正を行わなければなりません。

管理規約の改正は、総会を開催して区分所有者数及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要です。

4分の3以上の賛成という承認要件がとても高いハードルとして立ちはだかりますが、しかしその前に総会が開催できるのか?って問題があります。

総会の招集権者は、理事長です。理事長には管理会社が就任しています。

“理事長・監事を含めた役員職設立、理事会設立を主旨とした管理規約変更の件”という議案を審議するための総会を管理会社が招集するとは思えません。

理事長である管理会社が総会を招集しない場合は、組合員の5分の1以上の発議によって総会を開催することができると規定されています。

しかし、この5分の1以上の組合員発議の総会開催はとてもハードルが高いのです。

つぶやき主も過去に2度この方法で臨時総会を開催したことがありますが、組合員の名簿を集めるのが先ずは一苦労です。

そんな臨時総会を開催されたくない管理会社は、組合員名簿を開示しません。

一方、組合員全員へ2週間前までに議案書を配布していないと、総会は有効に開催されません。一人の漏れも許されません。そのマンションに住んでいる方は良いのですが、不在区分所有者の宛先を調べるのは至難の業です。

朝日新聞からより詳しい情報求められれば提供しちゃうのに・・・。