マンション管理士の独り言・・・1411

マンション管理士の独り言・・・1411

「あぶない第3者管理方式」

8月13日朝日新聞朝刊の「第3者管理方式」について引き続きつぶやいちゃいます。

分譲マンションを購入すれば、共用部分や敷地についての共有持ち分を取得することとなり、このことは他の購入者との間で共有関係になることを意味します。

そしてその共有物(共用部分、敷地)の維持管理を行うために管理組合が設立され、マンション購入者は法律上当然に管理組合員となります。

“共有物とはいえ、自分のものだから自分で維持管理しなさいよ”って至極まっとうなものです。

しかし、共有物であるがゆえに合意形成が難しく、また設備や建物躯体に関し、素人が管理するのは難しい面もあるので、専門家に任せてみましょう、というのが第3者管理方式です。

賃貸マンションをイメージすれば分かりやすいです。

賃借人は共益費が含まれた賃料を毎月支払い、オーナーから委託された管理会社が廊下階段の清掃や電球玉切れ時の交換を行ってくれます。

また、劣化箇所があれば業者を手配し補修を行います。

これをイメージして国交省でも第3者管理方式を推奨しています。国交省では3つのパターンを用意しています。

詳しくは国交省ホームページに詳しく記載されていますが、3つのパターンに共通しているのは、“何から何まで全て第3者にお任せではいけませんよ。必ず管理組合としてチェックが出来るようなスキームにしなさいよ”ってことです。

しかし、現在北九州で某管理会社が進めているのは、「管理会社が理事長を務めます。理事会はありません。監事も関係会社が行うので不要です」ってものです。

これじゃ、管理組合のチェックが入る余地がありません。

“賃貸マンションと何が違うのか?同じじゃん”って言われれば大きな違いがあります。

大規模な修繕工事を発注する際に、賃貸マンションではオーナーのチェックが入り、発注者もオーナーとなります。

オーナーは少しでも安くて信頼できる業者を選定しようとするからです。

管理会社推奨業者を右から左へとスンナリと受け入れるオーナーなんてありません。

これに対し、某社の第3者管理方式(理事会も監事もない、管理会社が理事長)だと、発注者が「○○マンション管理組合 理事長△△管理会社 社長・・・」となり、一方の請負者も「○○マンション管理組合 理事長△△管理会社 社長・・・」となるのです。発注者も請負者も同一人です。

つぶやき主には、どこからどう見ても利益相反にしか見えません。

現に、とあるマンションの管理委託契約では発注者が「○○マンション管理組合 理事長△△管理会社 社長・・・」、受注者も「○○マンション管理組合 理事長△△管理会社 社長・・・」となっています。

管理会社が理事長であり、理事会もなければ監事も管理会社系列企業という状態では全くチェックが働きません。

理事会がない・監事も有名無実なので管理組合としてチェックできる機能が骨抜きにされているからです。

今後各地で訴訟に発展したり、公正取引委員会からの行政指導が頻発するものと予想します。

まあ、「それを許している組合員各位・管理組合も悪いといえば悪い」ってことです。