マンション管理士の独り言・・・1414

マンション管理士の独り言・・・1414

「マンション購入読本その②」

民法の大原則の一つに契約自由の原則(私的自治の原則)というのがあります。

契約当事者がお互いに自由な意思で約束(契約)したものが、それが公序良俗に反しない限り有効だというものです。

お国とすれば、“成人が契約するのならば、自己の不利にならない程度にそれなりに勉強して責任もって契約に臨んでよ。契約当事者双方がそれでいいのならば、お国は口出ししないよ”ってことを言いたいのだと思います。

言われればその通りですが、不動産売買特にマンション購入に際しては、購入者は不利な立場に置かれています。

何年もこの業界で商売している売主や管理会社さんみたいなプロと、初めてマンションを購入する素人とが対等な立場で売買契約を締結するのがマンション購入です。

専門用語も多いし、他の売主さんの契約書と比較することも出来ないし、そのほか建築や設備、関連する法律の知識も乏しいし、という状態の素人さんが百戦錬磨の売主や管理会社さんと対等な立場で交渉を行わなければなりません。

宅建業法や消費者保護法、品確法などで最低限は守らなければならない法律や規制は順守しているけれど、それ以外のグレイな部分に関しては、売主や管理会社さんの独壇場と思えるケースが多発しています。

全て北九州の事例です。全国的にも有名な分譲駐車場訴訟。

これは今は廃業している百万両住宅が売主の「ミリオンコーポラス高峰館」事件です。

経緯は省略しますが、最高裁の結論は、「分譲駐車場があるってことは売買契約書や重要事項説明書にも記載されている。購入者はこのことを知って購入したのでしょう。契約自由の原則からもこの売買契約は有効だ」というものです。

また、最近ではN社が「管理に関する承認書」に“管理会社N社との管理委託契約期間を10年間とする”って謳ってました。

これについてはつぶやき主が、“マンション管理適正化法では管理委託契約は自動更新も認められておらず、どこの管理会社さんも1年更新しているのに10年の委託契約は違法だろ“って指摘し、1年に変更させた事例があります。

N社担当者は、“スミマセン。記載ミスでした”って???驚きの返答でした。

もしつぶやき主が指摘せず、委託契約期間10年って謳ってる「管理に関する承認書」を購入者全員から捺印もらっていたら、契約自由の原則から有効とされていたかもしれません。

第3者管理方式でも同様です。理事会も置かず、監事も自社関連会社に担わせ、管理会社が理事長になって管理を行うというものです。

分譲当初の管理規約(原始管理規約)には、理事会や監事に関する章がそっくりと抜け落ちています。

管理委託契約書には、発注者と請負者の欄には、どちらも同じ管理会社さんの名前が打ち込まれています。

発注者と請負者が同一なので、つぶやき主には、どこからどう見ても利益相反にしか見えません。

ところがこれが、売買契約書や重要事項説明書に記載されていれば、契約自由の原則から有効と見なされる可能性が高いようです。

やはり購入者が勉強するしかありません。将来トラブルになることが予めわかっているマンションを購入していませんか?