マンション管理士の独り言・・・1415
「遮音性能」
ふたつ前の独り言で、竣工直前物件に対し、“竣工~引き渡しまでの間で階下への遮音性能を確認するための環境調査を行ってはどうか?”という提案を管理会社経由で売主さんに行いましたが、ケンモホロロに、「行いません」って回答が来たことをつぶやきました。
環境調査というのは、上階にバレーボールくらいの大きさのタイヤがついたパンチングマシンのような騒音発生器(重量衝撃音)を設置し、床を叩いて、そのデシベル数を階下で測定するというものです。
ですから竣工~入居前の期間が唯一のチャンスなのです。この機会を逸すると上下入居者の協力がいるなど調査することがかなり難しくなってきます。
ケンモホロロに断られましたが、本当はつぶやき主が提案する前に売主さんが自発的に行わなければならないものです。
階下への遮音性能は、マンション購入者にとってとっても重要な情報であると同時に知っておかなければならないものです。
何度も言うように、車を購入する際には、馬力や燃費などその車の基本的な性能を把握し確認して、購入します。
購入者はそれら情報を基に、自分が支出する金員に見合うかどうかを判断し、見合うとなれば購入するのです。
また、車メーカーにもそれら重要な情報を顧客へ開示する義務があり、もしそれら情報が間違っていたらリコールの対象となったり、景表法違反にもなり得ます。
そんなに優れた性能でなくても良い、と考える人もいれば、もっとハイスペックな車を求める人だっています。人それぞれの購入行動です。これが当たり前の商取引です。
ところが車よりずっと高価で35年もの長期ローンを組み、購入者の大多数が永遠に終の棲家とするマンションでは、生活環境に密接に関係する遮音性能が開示されないままの状態で購入するのが当たり前になっています。
購入者はもとより、売主も建設会社も、設計士だって実際の遮音性能はわかりません。
誰にも本当の数字はわからないのです。永遠に、です。
設計士に見解を求めても、“計算上このようになると思います、って曖昧な返答しか得られません。
「計算上このようになる」なら竣工後実際に測定して確認してよ、です。
実際に測って数値を開示し、その測定値で自分が良いと思えば購入するし、もっと遮音性能が高い方がいいと思えば、購入費用は上がりますがもっと遮音性能が高いマンションを購入します。
実際の測定値がないので、「分譲マンションだし、そんなに騒音はしないだろう」って淡い期待感に胸膨らませてマンション購入します。
そして、上階からの騒音に悩まされ「こんなはずじゃなかった。わかっていたら購入しなかったのに」なんて後悔する人を何度見てきたことか。
残念なのが管理会社さんの対応です。売主さんにもっと積極的に働きかけてくれればいいのに、でした。
実際の測定値があれば、入居後クレームがあった時に、「当マンションの遮音性能は、○○デシベルです。実際の測定値もその数字が確保されています。それをご理解いただいた上で購入されたのでしょう。それ以上の静粛性を求められても困ります。プリウス買われたのにレクサスの性能を求めるみたいなものですよ」って抗弁できるのに・・・です。
つぶやき主には、売主さんはよほど遮音性能に自信がなく、“悪い数字が出たらどうしよう”って考えている、としか思えません。