マンション管理士の独り言・・・1423

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「城野団地ボンジョーノ訴訟 その2」

前回に引き続き城野団地ボンジョーノ訴訟について、つぶやきます。

勘違いしてはいけないのは、訴訟とは、訴える側(原告)が相手方(被告)に対し、“お宅(被告)は法律や条例のナニナニに違反していて私(原告)に損害を与えた。その賠償をしてよ”とするもので、相手方(被告)の「行ってはいけない行為」や、「行うべきなのに行わなかった行為」を原告側が立証して、裁判官に納得させることです。立証責任は原告にあります。

“そんなのわかってるよ”と言われそうですが、間違っていけないのは、“どちらに正義があるか”を判断することではないのです。

「社会的に見て」「一般常識からすると」「企業のあるべき姿から」の正義をジャッジすることではないのです。

どんなに「社会的に見て」「一般常識からする」と正義は原告にあっても、それを立証できなければ訴えが認められないのです。それを前提に。

このマンションは「住宅瑕疵担保保険」に付保していますので、ADRも利用できたはずですが、弁護士さんがついていますので当然訴訟の前段階としてこの検討は行われているはずです。

或いは、ADRでの話し合いを売主さんに持ち込んだけれど、拒否されたのでしょうか。

訴訟に関する記事の中で、“故意または重大な過失で注意義務を怠り設計内容と異なるずさんな施工”とあります。

文中の“故意または重大な過失”により今回の訴訟は民法709条による不法行為をベースにした損害賠償請求だと思われます。

前回つぶやいたように先ずは、売主買主間での売買契約書や重要事項説明書をもとに検討されたことと思います。瑕疵担保や債務不履行が適用できないか、をです。

しかし瑕疵担保期間の引き渡し後2年はとっくに過ぎている。

では瑕疵担保期間10年の品確法は適用できないか?

これも断熱材の厚み不足は主要構造部や雨水の浸水を妨げる部位には該当しない、それならばということで不法行為に落ち着いたのかな、って考えています。

仮に不法行為ならば、・・・はっきり言って弱い。

不法行為というのは、原則的に法律関係がない第3者との間で用いられるものです。

例として、車を運転していて後ろから追突された、というのが一番わかりやすいです。

双方の運転者に法律関係はありません。しかし前の車の運転者は、後ろの車に追突されて被害を被ったから、後ろの運転者に損害賠償を請求する、ってものです。

当事者双方に法律関係がない場合に適用されるのが不法行為の原則です。

また、“注意義務を怠る”という文言から売主の善管注意義務違反による債務不履行に該当し損害賠償を請求するという建付けも考えられます。

“売主として買主に完全なものを引き渡す義務があるのに、しっかりした管理が出来ていなかったので、その結果ずさんな施工となってしまった。不完全なものを引き渡された。その損害を賠償しろ”ってことです。

建物の施工不良に関しての住民訴訟で、不法行為は認められない傾向にあります。

余程、耐力壁が備わっていなかった、とかでそのまま放置していると住んでいる住民や第3者へ損害が及ぶ危険性がある、などの場合に限って認められるという顕著な傾向があります。

もう少しつぶやきましょう。