マンション管理士の独り言・・・1424

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「城野団地ボンジョーノ訴訟 その3」

しつこいようですが城野団地ボンジョーノ訴訟 その3。

記者発表と、ネットに残ってる1部パンフレットという極めて少ない情報でここまで詳細につぶやけるなと我ながら感心しています。

訴訟代表者さんは、断熱効果がないので調査会社に調べてもらったら、「断熱材が半分くらいしか入っていなかった箇所」「排気ダクトの形状が市の基準に適合していなかった」という不具合が見つかったと発言されています。

おそらくご自分の住戸で壁を破って調査されたのだと思います。調査費用や復旧費用などもご自身で負担されたのでしょう。頭が下がります。

不具合は主に2点。断熱材不足と排気ダクト形状です。

先ずは外壁断熱材ですが、ネットに残っているパンフレットで確認したところ、外壁断熱材は外壁コンクリートの内側(室内側)に吹き付けられています。

コンクリートの内側ですから、ここは共用部分ではなく専有部分と考えます。

最上階断熱材についても屋上コンクリートスラブの内側(室内側)にありますので、これも専有部分だと考えます。

したがって管理組合など通さず、区分所有者の責任と負担で売主デべさんと交渉することとなります。室内クロスが剥げているのと一緒の扱いです。内法部分です。

ところが1階床に吹き付けられている断熱材は、床コンクリートスラブの下にありますから、ここは共用部分でしょう。したがって管理組合が管理すべき部分です。

区分所有者は、共用部分であっても専有面積の割合で共有持ち分がありますので、単独で提訴できることとなります。

しかし仮に金銭での賠償が認められたとしても、共有持ち分割合になってしまいます。

続いて排気ダクト形状です。ここはどこに設置されていようとマンション全体の防災に資するものですから、共用部分となります。市の基準に適合しないということなので取り換えるべきものでしょう。

断熱材の厚みなどは事前に示されたパンフレットと異なるようです。

変更あれば内覧時などに購入者へ変更前→変更後とご説明し承諾印をもらっておくのが普通ですが、これは行っていないのでしょうね。パンフレットには隅の方にちっちゃく「現物とは異なる場合があります」と記載されていますが、これが適用されるのでしょうか?

少し無理がありそうです。ウレタン(断熱材)吹き付けは現場で職人さんが行います。

調査住戸だけなのか、他の住戸でもそうなのかは判断しかねます。

竣工図書と実物とが異なっているという記載もありましたが、これはよくあることです。

竣工図書には屋外階段に雨水樋があるのに、実際には付いていません。

“付いていない”と意見すると、“現状の方が正であって竣工図書の方が間違っている。図書を差し替えます”と言われたこともあります。

玄関オートロック前に水が溜まるので雨水枡設置を管理会社さん経由で要望すると、管理会社さんは“竣工図書では、そこには桝があるようになっています”です。

続いて売主さんからは、“当社が保有する図書では雨水枡が手前30センチの床にあるようになっていますよ”です。

管理組合、管理会社、売主とで保有している竣工図書が異なっているって、お笑いのようなこともありました。

さて本訴訟はどのような経緯をたどり、どこで決着するのでしょうか?

いづれにしても管理組合とは良好な関係を保っておくことをお勧めします。

売主デべさんは、アッと驚く論法で来ます。(大体想像できますが・・・)

管理組合内部の分断や、提訴された8組の方の仲間割れが生じないことを祈ります。