マンション管理士の独り言・・・1425

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「城野団地 ボンジョーノ訴訟・・・④」

これで最後です。我ながらしつこい。

城野団地は、北九州市の「住宅市街地総合整備事業」に認定されたエリアです。

つぶやき主の事務所のそばにある高見地区と同じ事業のようです。

つぶやき主は、「住宅市街地総合整備事業」に関し、大里本町地区のマンションと高見地区のマンションの管理組合の顧問として携わったことがあります。

「住宅市街地総合整備事業」では、共用部分に関しその建設費用の1/3を国が、1/3を市が補助してくれます。

したがって売主さんはマンション共用部分建築費を1/3だけの負担でまかなえるということになります。

実際に携わった2つのマンションでは、1億5千万円程度の補助金が交付されています。

おそらくボンジョーノに関しても数千万円から1億円程度の補助金が交付されていることと思います。

補助金額算定については国は関与していないようで、市がOKすれば自動的に国も交付するシステムのようです。

それだけに今回の訴訟は市の面目丸つぶれとなるのではと考えています。

市が税金が原資の補助金を出した物件がこんなに杜撰な工事でいいのか?市としてしっかり検査したのか?ってなりそうです。

マンション建築に際しては、建築基準法を始めとして各種建築関連法規に適合しているかどうかを審査してもらいます。本物件では日本ERIのようです。

これら法規に違反していないことが“確認”されて初めて工事が着工します。

”確認“に際しては、本エリアで求められている、「住宅街区のスマート化促進事業」に関する項目についても行われているものと推察します。

その後工事の進捗に伴い、中間検査、竣工検査とすすみ晴れて竣工~引き渡しとなります。

中間検査時や竣工検査時にも「住宅街区のスマート化促進事業」などに適合しているかどうかも確認されたと思われます。

これら検査においても本当に断熱材が当初の設計通りに吹き付けられているかどうかを調べる方法はありません。

日本ERI担当者が設計監理会社にヒアリングするくらいが関の山です。

検査機関も設計監理会社もおそらく現場代理人(=監督さん)もましてや売主さんが吹き付け時に立ち会うこともありませんし、仕上がったものを壁を壊して中を確認なんて行うことはありません。

このような状態で誰がウレタン吹き付け厚が少ないのかを知っているのは、おそらく吹き付けを行った職人さんだけです。

しかし、提訴した方からすれば、誰が手を抜いたか?何故そんなことをしたのか?何故見逃されたのか?なんてことは関係ありません。

提訴された方と法律関係があるのは売主さんだけなので、売主さんを相手取ることになりますが、実際に責任あるのは、工事を行った職人さん、現場代理人さん、更には設計監理会社さんです。

今後本訴訟がどのような経緯をたどり決着するのかわかりませんが、原告にとっては訴えが認められるにはかなりハードルが高いように思えてなりません。