マンション管理士の独り言・・・168

「リーモの購入者さんから少しは感謝されたい」

マンションには専有部分と共用部分があることは、知っていると思いますが、共用部分の中は、更に法定共用部分と規約共用部分とに分かれているのをご存知ですか?
法定共用部分とは、おおざっぱに言えば、誰が見ても区分所有者みんなの物で、みんなのために使われる部分で、具体的に言えば、柱・梁・外壁・階段・廊下・屋根・基礎部分・エントランスなどです。
この法定共用部分は、登記する必要がない、というか登記できません。
登記というのは、“これは○○○さんのものですよ”、という事を対外的に知らしめる(難しく言えば第3者対抗要件を具備)ことですから、誰が見ても共用部分ですので、登記しなくて良いのです。
これに対して規約共用部分と言うのがあります。

その設備や部屋があるマンションや、なかったりするマンションがあるので、これは登記(表示登記で良い)しなければ、上述の第3者対抗要件を具備しません。
代表的なものとして、集会室・管理室などがあります。
集会室があるマンションもあれば、ないマンションもありますから、規約共用部分として登記することが必要となります。
多くの方が、“集会室や管理室はマンションのものだろう、敢えて登記する必要ないじゃん”とお考えだと思いますが、実は登記していないために多くの紛争が起こり、また裁判が起こっています。

管理の委託先を変えられそうになった管理会社が、管理室を自社のものとして登記を行い、管理会社を変更するならば、管理室を使わせないという裁判事例も存在します。
法務局は、要件や書類が整っていれば、基本的に登記申請を受理しますから、この裁判例のように悪意で売主や管理会社が、自社のものとして共用部分の登記を行う事も可能です。
そうならないように、規約共用部分は登記しておかなければなりません。

ここで、やっと表題の「リーモの購入者さんから少しは感謝されたい」ですが、内覧会同行をお受付する際に、つぶやき主は無料で売買契約書や重要事項説明書、管理規約や長期修繕計画などの重要書類について、一方的に売主や管理会社に有利な事が書かれていないかの検証を行っていますが、リーモの場合には規約共用部分について“登記しません”とはっきり書かれていました。
これを指摘し、売主さんから“登記することにしました”とのお返事をいただきました。
登記簿を確認してはいませんが、表示登記が行われている事と思います。
リーモ購入者の方は、こんなこと知らなかったでしょうが、将来のトラブルの種を、一つ摘んであげているんですよ。
で、表題の「リーモの購入者さんから少しは感謝されたい」となります。