マンション管理士の独り言・・・212

「ものの見方」

マンション管理士資格を取り、やとわれ理事長や顧問や更には、セミナーなんかを開催するようになってから、マンションに対するものの見方が随分と変わりました。
特に管理費や修繕積立金の負担額については、売主時代とは180°変わったような気がします。
売主時代は、「今のお家賃と比べてみて下さい」とまではいかないものの、購入者の支払いを少しでも軽く見せようと工夫をしていました。
管理費や修繕積立金についても、“高い金額設定は悪!”とばかりに兎に角、低く抑えようとしていました。

こんなつぶやき主でしたが、多くの管理組合さんからのご相談をお受けしているうちに、考え方が変わりました。
管理費や修繕積立金が低い管理組合さんを見ると、“こんな低い額で管理運営できるのかな?大規模修繕工事を実施する時に1時金が発生しちゃうぞ”なんて思うようになりました。

今、自主管理のマンションのデーターをまとめていますが、管理費や修繕積立金の額はそれこそ千差万別で、あまりに差があり過ぎるため平均値さえ算出できません。
一般の購入者なら、管理費や修繕積立金が低い方がいいと思うのでしょうが、これは大きな誤りです。
現在の管理費などの額が低いという事は、それだけその管理組合にお金が貯まっていないこととなり、通常の管理に必要となる費用が不足したり、更には大規模修繕工事を実施するときに一時金の負担が発生することにつながりかねません。

「1時金が発生してもその時払えばいいじゃん」、と思われるかもしれませんが、マンションでは過半数の賛成が得られなければ大規模修繕工事は実施できないのです。
“積み立てられている修繕積立金で工事費用が賄えるのならば賛成だけど、一時金が必要ならば反対”とする組合員は大勢いるのです。
そしてその結果、過半数の賛成が得られずに大規模修繕工事が実施できず、あわれそのマンションはスラム化していくのです・・・、そしてスラム化したマンションは相続人も引き取らず、個人の所有物なので役所も手が付けられず、・・・どんどんスラム化し、ついには孤独死も発生しちゃう・・・なんて事にならないように日ごろから適正な額を積み立てるようにしましょう。

ところで、八幡西区の某マンションですが、自主管理とはいえ、管理費・修繕積立金がゼロです。つまりタダ。
どんなふうにして管理しているのか、不明です。
今度聞きに行こうと思っています。