マンション管理士の独り言・・・239

「またまた否決」

4月半ばに区分所有者の方からご相談がありました。
「管理組合がない!管理規約がない!管理組合活動を行ってない!」の見事な3ナイ管理組合です。
これじゃいけないと自腹を切ってでも、とご相談に来られたのです。
そこから有志による管理組合設立準備会みたいなものを立ち上げて、何度も理事会(?)を開催しました。

そしてこの有志の方が中心となって臨時総会を開く事となりました。
議案の中にはこの有志の方たちが次期役員となるという第1号議案。
管理の適正化へ向けてマンション管理士にコンサルタントを依頼する第2号議案だけです。

このような3ナイ管理組合の役員となるのは誰だってイヤです。
解決しなければならない事が目白押しです。
もう何か月も停止しているエレベーターの復旧、漏水問題、バルコニー床の爆裂、屋上防水の劣化、滞納管理費、特殊建築物調査の未実施などなど・・・。
それでも、“マンション管理士が手助けしてくれるなら何とか役員として頑張ろう”、と思っていただいて役員を引き受けていただきました。

議案書の作成から、戸数分コピーして配布。
不在区分所有者へは郵送を行いました。

そして総会当日。
前日までに委任状や議決権行使書は1枚も届いていません。
総会の定足数に達するだろうか、無事に開催できるだろうか、とヤキモキしていましたが、結構実参加者が多く、総会は無事成立です。

暫定理事長から、議事進行役を任され、淡々と議事を進めて行きます。
第1号議案の役員改選の件は、全員の賛成により承認。

続いて第2号議案であるマンション管理士を顧問として採用する件の審議に入りましたが、「反対」[必要ない]のオンパレードです。
「管理士を雇う金があったら漏水を何とかしてくれ」「エレベーターの方が先だ」・・・などなど
「あまり蓄えのない修繕積立金をより有効に使うためにも管理士さんのアドバイスや調査を受けて優先順位をつけなきゃいけない」「当初は管理士さんに入ってもらって適正化までの道筋をつけてもらわなきゃ、全然前に進まない」という役員の意見は反対意見にかき消されます。

強烈だったのが、いままで何も発言しなかった方が発言を求められて、「私はもうこんなマンションに住みたくありませんから、転居します」です。
皆返す言葉が見つからず口アングリでした。

反対意見もごもっともです。
管理士を雇う金あれば漏水を何とかしてくれ、なんていうのはその通りだな、なんて思ってしまいます。
しかしその中で「管理士に頼まなくても理事会で出来るだろう」という意見に対し、「じゃ、アンタ理事やってよ」と言われると「自分は忙しいから無理」という無責任な発言です。この発言にはさすがにムッと来ます。

でも結局、否決。それも圧倒的多数で否決。「管理士さんが顧問やってくれるから役員引き受けたのに・・・」という声が虚しくひびく臨時総会でした。

“総会”は“爽快”にはなかなかならず、声の大きい反対者に“添う会”になりがちです。