マンション管理士の独り言・・・465

「共用部分の検査」

つぶやき主は年間50件くらいの内覧会同行をしています。
これは専有部分の出来ばえや施工精度をつぶやき主のキャリアやいろんなメカを使って調査するものです。
そしてその調査対象は専有部分だけに限られます。

マンションを購入するというのは、法律的にややこしく言うと、①専有部分の区分所有権を購入する ②共用部分の共有持ち分を購入する ③敷地の共有持ち分を購入する、となります。
これら3つのうち、敷地に関しては構築物でないのであまり検査の必要はないかと思われますが、専有部分と共用部分とは構築物ですから当然施工精度は検査対象となってしかるべきです。
専有部分は区分所有者や、場合によればつぶやき主のような内覧会同行業者が検査するのでしょうが、共用部分の検査は行うのでしょうか?行うとすれば誰が行うのでしょうか?

竣工した建物検査については、まずは建築したゼネコンさんが社内検査を行い、その後売主である不動産業者さんと設計事務所さんの施主検査いうものが行われます。
専有部分についてはこれらの後に購入者による内覧会~確認会となっていきます。
共用部分に関しては、購入者が持ち分はあるにせよ、内覧会としては実施されませんから、通常は管理会社さんが検査を実施します。

しかし、管理会社さんは多くの場合、売主不動産業者さんの子会社か系列会社です。
内覧会の区分所有者に様に厳しい目でチェックしたりはしません。
つぶやき主も管理会社として共用部分の検査を行ったことがありますが、ゼネコンさんと和気あいあいで笑いながらの検査だったりしちゃってました。

ですが本当は共用部分の方にこそより厳しい目を向けて検査しなければいけません。
特にインフラ部分に関してはその故障は生活の不便さに直結しますので、チェックが必要です。
給水ポンプは何基か?制御盤は屋外に野ざらしじゃないか?受水槽があれば設置はキチンと平行が保たれているか?雨水排水は十分な計画がなされているのか?逆勾配とまでは行かなくとも緩くないか?グレーチングが必要な個所ではないのか?バルコニー排水は1住戸に1系統か?共用部照明器具は取り替えやすくなっているか?階段手すりに子供が乗ったら転落の危険がないのか?塀とバルコニーの取り合いで侵入しやすい箇所はないか?屋上防水はしっかり施工されているか?その他いろいろです。

同じことが2年点検にも言えます。
理事会で2年点検に立ち会う優秀な管理組合さんもまれにありますが、通常は「管理会社さんお願いね」です。
最近は売主とは全く関係ない設計事務所やマンション管理士団体に共用部2年点検を依頼する管理組合さんが増えています。
竣工時に内覧会で共用部分の検査を区分所有者が行うというのは無理がありますが、せめて瑕疵担保責任期間が過ぎる前の2年点検では検査会社にお金を払ってでもしっかりした検査を行ってはどうでしょうか?

最近共用部分の瑕疵があまりに多く驚いています。竣工当時から悪かったに違いないと思われますが、残念ながらもう2年過ぎちゃってますよ~です。