マンション管理士の独り言・・・561

「交渉の相手方」

お世話しているマンションで、建物共用部分に瑕疵があり売主さんと交渉しています。
“手直ししてよ”ってことです。
売主さんは、決まってこう言います。“施工したゼネコンさんに連絡します”。

分譲マンションの売主さんは多くの場合デベロッパーであり、施工した建設会社(=ゼネコンさん)は別にいます。
その建物は売主さんが建築したわけではありません。
確かに住宅の品質確保に関する法律(略して品確法)により、売主さんは購入者に対して「建物の主要構造部や雨水の侵入を妨げる部分」について10年間の瑕疵保証義務を負いますが、売主さんもその建物を建築したゼネコンさんから竣工後10年の保証を得ている、という図式になります。

購入者や管理組合はゼネコンさんとは直接的な法律関係はありませんので、建物などに瑕疵があった時は、売主さんを窓口に交渉することに成らざるを得ません。
管理組合からの瑕疵補修のクレームを受けた売主さんも自分が建築したわけじゃありませんから、“ゼネコンさんへ対応するよう言います”っていうしかありません。

通常、共用部分に瑕疵が発見された時は、理事会が管理会社へ伝えます。
「売主さんに伝えてよ」これを受け、管理会社は売主さんへ伝えます。
そして売主さんから、施工したゼネコンさんへ、ゼネコンさんは実際に工事した職人さんへというルートになります。

まるで伝言ゲームのようです。
ちょっとピントがずれてる売主担当者なんて、“ゼネコンさんに全て任せてますから、ゼネコンさんに直接言って下さい”と他人事のように平気で言って来たりします。

そしていつまで経っても補修工事に着工しません。しびれを切らした役員さんが管理会社のフロントマンに“どうなってんだ。早くやってよ”と催促します。
フロントマンは、売主さんへ状況を聞き、売主さんはゼネコンさんへ聞き、ゼネコンさんは職人さんへというルートをたどるしかありません。
状況確認だけでもたいそうな時間が費やされます。

何とか、売主さん➔ゼネコンさん➔➔➔施工した職人さんまで伝わりましたが、これからがまた大変です。
クレーム処理何て誰もやりたくないから、皆が逃げ腰です。
結局、この補修工事の責任者って誰なの?って状態になっちゃいます。

昨年の総会で“補修工事を売主さんに依頼します”って報告してからすぐに1年が経っちゃいます。
終わってなければ、今年度の総会で今度は、役員さんが「何をやってたんだ」って組合員から怒られちゃいます。

何が言いたいかっていうと、通常総会が終わって旧役員さんから新役員さんへ決議事項の引き継ぎが終わるころです。まだまだ時間があるなんて思っちゃいけませんよ。
すぐに取り掛かりましょう。