マンション管理士の独り言・・・573

「特定承継人」

中古のマンションを所有者(売主)から購入した人を特定承継人といいます。
特定承継人は前の所有者(売主)の権利義務を引き継ぎますから、前の所有者が管理費などを滞納していたら、その滞納分を負担しなきゃいけないってなっています。
更に規約や総会の決議も遵守しなければなりません。
“その人が区分所有者になるずっと前に開催された総会で決議されたことであっても守んなきゃいけない”ってなってます。
“自分はその総会に出席してなかったので、議論に加わってない。だから守る義務はない”は通用しません。
これらは中古マンション購入を検討するときの常識です。

これ以外にも、例えば前の区分所有者が外壁に穴を開けていた時に、理事長さんから“その穴塞いで現状復旧してよ”って言われたら、今の所有者が穴を塞がなければならない、とされていますし、前の区分所有者が滞納した専用庭使用料についても負担義務があるとされています。

意見が分かれるのが、駐車場使用料についてです。
前の区分所有者が車を利用する人だったから駐車場を使用していたのであって、車に乗らない人だったら駐車場使用料は発生していなかった、というように属人性が高いとされていて、従来は滞納駐車場使用料については特定承継人は引き継がないというのが通説でした。
しかし最近は、駐車場使用料も管理に要する費用に充当されている、駐車場は共用部分で管理組合が別途契約により専用使用権を設定できる、これらの規定は特定承継人にも効力を有するという考えから、特定承継するという考えの方が主流のようです。

勿論、特定承継人(買主)にだけ滞納分全額を請求できるってわけじゃなく、滞納をおこした張本人の売主にも同時に全額請求できるのは言うまでもありません。

では、中古マンションがAさん➔Bさん➔Cさんへと転売された時に、滞納管理費は誰に請求できるのかって言うと、最終的な特定承継人のCさんと滞納をおこした張本人のAさんっていうのはスムーズにわかりますが、Bさんにも出来るのかって疑問が生じます。
判例もあっちに振れ、こっちに振れましたが、最近ではBさんも特定承継する、つまり滞納分を請求できるっていうのがほとんど固まりつつあります。

でも実務的には、売り払ってどこに行ってしまったかわからないAさんやBさんを探し出して請求するより、待っていればこのマンションへ引っ越してくるCさんへ請求する方が楽に決まっています。

最近、地下水に悩まされています。
地下駐車場へ湧き出してくる地下水を発泡ウレタン工法で止めれば、確かに塞いだところからは湧いてきませんが、今まで湧いてなかったところから湧いてくるって感じです。
モグラたたき?イタチごっこ?のようです。
更にかつての大手町の兵器工場の状況を調べたり、兵器工場の真ん中あたりに通っていた地下壕について調べたりしています。
マンション管理士が何故、地下壕について調べなきゃなんないのか、やってて自分でもよくわかりませんが、やがて管理組合さんの利益に結び付くでしょう。