マンション管理士の独り言・・・579

「団地型」

4棟の独立した建物(分譲マンション)が同一敷地内にあり、その敷地が4棟の区分所有者の共有関係にある場合にはいわゆる“マンション”を構成します。
この場合管理組合は、教科書通りならば棟別にそれぞれ1つづつ管理組合があり、全体でもう一つ管理組合があるという合計5つの管理組合が存在する事となります。
そして、管理費もその棟の共用部分を管理するための棟管理費と全体管理費、修繕積立金も棟修繕積立金と全体修繕積立金と分別して管理するのが本当です。
でもこんなの煩わしいということで全体管理組合たった一つというのも良く見かけます。

全体で1つの場合にはよく問題が生じます。
例えば、他の3棟は何ともないのに、1棟だけが壊れて補修が必要となった場合に他の3棟の組合員が“何で自分が住んでいない棟のために自分も負担している積立金から支出するの?”ってなります。
また、A棟にルールを守らない組合員が住んでいてA棟だけが迷惑を被っている場合に、“何で影響のない他棟の組合員を巻き込んで話し合いを持たなきゃなんないの?A棟だけでやってよ”ってなります。
国交省も同様の考えで、全体管理組合を構成しながらも、その棟だけの補修とか迷惑組合員への対応はその棟独自でやりましょう、としています。

八幡西区の団地を構成する管理組合さんからのご相談です。
そのマンションでは「ペット禁止」となっていますが、ご多聞にもれずこっそり飼育している組合員が4分の1くらい存在します。
このまま肩身が狭いままで飼育するのも嫌だし、またキチンとルールを作成しそれを守って飼育する方が飼育していない人にとってもベターだろうという考えに到りました。
ところが強烈な反対者がC棟にいて、総会ではいつも大声で反対します。

ご相談者はB棟なので、「それならB棟管理組合総会でB棟だけはペット飼育可にすればいいじゃないっすか」とアドバイスしました。
“そんな事出来るんですか?”“出来ますよ。そんな例はありますよ”
現につぶやき主の近くのヌーベラージュ1・2番館、ネクスタージュ1・2番館の内ネクスタージュ2番館だけはペット飼育可にしています。
他の3棟は相変わらずペット飼育不可の管理規約を後生大事に抱えています。
さすがに“敷地内では抱きかかえて歩かせちゃダメ”としなくちゃならないでしょうが、B棟だけで飼育可にする事は可能です。

管理規約を確認していませんが、規約に「ペット不可」とあれば、規約の改正で臨まなければなりません。
この場合は特別決議となりB棟組合員総数の4分の3に賛成が必要となります。
規約に規定されておらず、使用細則に「ペット飼育不可」とあれば、これは普通決議となり総会参加者の過半数の賛成で承認されます。
割とハードルは低いですよ。
でも単に“過半数の賛成を得られれば良し”ではなく丁寧な議論を心がけなければなりません。
その辺のノウハウや皆が納得するペット飼育細則についてはつぶやき主にお聞きください、です。