マンション管理士の独り言・・・595

「民法の異端児・・・マンション」

法治国家である日本では憲法に準拠していろんな法律が存在します。
その中で商人間の取り決めが商法、個人間の取り決めが民法となります。
また、行政法などの国のあり方を司る公法に対して私法とも呼ばれます。
民法は法律の中で一番下に位置し(一番下とか言うと、民法作った人に怒られそうですが・・・)、他の法律と競合した時には他の法律が優先されるとなります。
例えば民法では建物を建てる場合は、隣地境界から外壁を50センチ以上離さないといけないとなっていますが、建築基準法などでそれと異なる規定があれば民法よりそちらが優先されます。

その民法の共有というセクションから派生してできたのが「建物の区分所有に関する法律」(区分所有法)でこれはマンション法とも呼ばれ、さらにこの区分所有法に準拠して各マンションの管理規約が出来上がっています。
このようにマンションライフのバイブルとも言われる管理規約は民法と密接な関係にあるのです。
民法には3大原則と言うのがあり、1つは所有権絶対の原則、2つ目は過失責任の原則、3つ目が契約自由の原則(私的自治の原則)です。
民法➔区分所有法➔マンション管理規約という生い立ちながら、管理規約はこの民法の3大原則をへっちゃらで破っています。

まずは所有権絶対の原則。所有権と言うのはそのものを自由に使用・収益・処分できる権利の事で、いかに国家権力と言えども簡単に所有権をその人から取り上げることは出来ません。沖縄基地の一坪地主がいい例です。
国家権力でさえ簡単に取り上げることの出来ない所有権を管理規約ではいともあっさりと取り上げちゃいます。
マンション住民の共通の利益を守らない区分所有者からその所有する住戸を競売にかけちゃうことだって出来ます。
その住戸の使用停止を求める裁判だって起こせちゃいます。
戸建の団地で、隣人が夜遅くまで騒いで近所迷惑だからと言って町内会長がその戸建の使用禁止を求めるなんてことは出来っこありません。
よ~く考えてみたら、強烈な規定です。
他人の住戸を皆の迷惑だからと言って、競売にかけることが予め規定されていて、マンション購入者はそれを承諾して入居するってことです
続いて二つ目の過失責任の原則。
これは他人が身体や財産に損害を蒙ったとして、その損害について当方が何か悪いことをしていればその損害を賠償しなければならない。
当方が何も悪いことしてないし、過失もなければ責任には問われないって原則です。
当たり前と言えば当たり前ですが、マンションではこの例外があるのです。
つまり当方には過失はないのだけれど、他人が蒙った損害を賠償しなければならない事があるのです。
具体的には、外壁タイルの落下です。管理組合として適正な管理をしていたにかかわらず外壁タイルが落下して他人に損害を及ぼした時は無過失責任とされ、過失はないのだけれど被害者救済という視点もあって、責任を問われることになります。

そして三つ目が契約自由(私的自治)の原則です。
これは特にご当地の場合、売主さんが購入者の勉強不足に付け込んで悪さをしている例が沢山ありますので、今回つぶやいたのでは息切れしそうです。
次回につぶやきます。