マンション管理士の独り言・・・687

「横浜傾きマンションの裏側にあるもの・・・③」

毎朝の散歩コースにいわゆるハードビルダーの建売建設作業が急ピッチで進んでいます。ハードビルダーというのは、40坪あるかないかの敷地に30坪程度の建物を建てて2000万円程度で販売する建売業者のことです。
散歩コースの建物を建てている職人さんはそれは熱心に作業しています。
朝は6時過ぎから暗くなるまで作業しています。

以前は建設現場の仕事開始時間は8時と決まっていましたが、6時から作業をしています。職人さんの雇用形態にも大きく2つあって常用(常雇い、ともいう)と請負というものです。一つの建物の大工工事を行うとしてその工務店さんから日当○○○円もらうのが常用です。朝8時から夕方5時まで働いたら日当を得られますので、そんなに焦って仕事をこなす必要はありません。いわばサラリーマンのようです。
これに対して請負は大工工事完成までを○○○円で請け負うもので、この場合職人さんは少しでも早くこの工事を完成させようとします。
何日かかろうが、得られる金員は一緒なので早く終えればそれだけ時間給も多くなる計算となりますし、次の現場を請け負う事だってできます。
最近は常用としている工務店さんはほとんど見かけず、請負形式ばかりのようです。
さらにその単価が低い。
だから散歩コースの建売の職人さんは朝早くから遅くまで仕事をして、早くこの現場を終わらせて次の現場に入らなきゃ、です。

このことはマンション建築現場でも同じです。北九州を見てもマンション建設を請け負う建設会社はF建設ばかりですし、そのアンダーで作業する職方も同じ業者ばかりです。
〇〇〇水道、△△△産業はかりです。
懇意にしている水道業者さんに“どうしてお宅は新築に入らないの?”って聞けば、憮然とした表情で「単価が安い」です。

いいものを安く提供なんて本当にできるのでしょうか?それなりの品質を期待するならそれなりの対価が必要です。

安い単価で、短い工期を守るように厳命され、監督さんからは怒鳴りあげられる職人さんの反乱が始まります。今回は悪意あるケース。
つぶやき主が管理会社フロントマンだったころ、□□□マンションの理事長さんから夜中に電話がかかってきました。“トイレが詰まる、兎に角来てくれ!”です。
急ぎ現場へ向かいました。
すると理事長さんが“せっかく来てもらったのに悪かったね。もう流れ出した。でも流れたり流れなかったりで変だよね。明日業者さんに見てもらってね”です。
翌日現場の監督さんにも立ち会ってもらって業者さんに汚水管を調べてもらいました。
すると縦5㎝、横3㎝、長さ1mくらいの発泡スチロールの棒が出てきたのです。
理事長さんには、“こんなのが入ってました。職人さんが忘れちゃったのでしょうね“と取り繕いましたが・・・、
監督さんも調査した水道業者さんも、当然つぶやき主もわかっていました。わざとです。
1mもの長さの棒を忘れるわけありません。

安い単価、窮屈な単価、怒鳴りあげる監督さんへの反発や仕返しでわざとやったというのがその場に居合わせた全員の見解でした。

皆が気持ちよく仕事したいものです。