マンション管理士の独り言・・・689

「横浜傾きマンションの裏側にあるもの・・・⑤」

北九州と異なり横浜ですから700戸のうち多くの方が内覧会同行を専門業者へ依頼しているはずです。
その時は新築間もない時期だったので、そんなに不具合もなく検査が終了していたことでしょう。しかも専有部分内のみの検査だから、廊下とか階段とか屋上なんて言う共用部分についての検査は行われていないはずです。

では共用部分の検査は誰が行うのかっていうと、竣工引渡し前には管理組合代表みたいな存在として管理会社さんが行います。
勿論その前にゼネコンさんの社内検査、施主(=売主)の施主検査、検査機関(日本ERI等)の竣工検査、設計管理会社による検査も行われていますが、購入者の立場からは管理会社が実施することとなります。
一応そのような建前ですが、売主が施主検査を実施していなかったり、管理会社さんも共用部検査を行わないままだったっていうのも耳にします。
仮に管理会社さんが行っていたとしても、多くの場合お手盛りです。
管理会社さんは売主の子会社である場合がほとんどですし、建ちあがった建物にケチをつけるようなことはしません。

そして購入者への引き渡し~入居が始まっても、区分所有者の誰一人、理事会役員さんの誰一人として共用部分の検査なんて行いません。
これまで多くの役員さんと接してきましたが、屋上に上ったことがあるなんて方はお目にかかったことがありません。
もっとも素人の方じゃ屋上に上っても不具合がわかんないでしょうから、仕方ありませんが・・・。

そして瑕疵担保期間やアフターサービスで設定している竣工2年目がやってきますが、この時も自分の部屋の不具合は指摘しても役員さんの誰一人として共用部点検を行おうという方はいません。
“管理会社さんやっておいてね”“ハイ、わかりました”と返事はいいのですがこれも実施するのかどうか怪しいものです。

大規模修繕工事のアフターサービスでは施工業者さんが工事完了後1年目、3年目には屋上などに上り、不具合がないか検査するのが一般的です。
新築マンションでは売主さんやゼネコンさんが2年点検で共用部を見て回ったという話は聞いたことがありません。ここでも“管理会社さんやっといてね”です。

共用部について売主もゼネコンも、そして管理会社も、悲しいことに区分所有者も関心を持っていないというのが実情です。

少し標題からはピントがずれているのかも知れませんが、共用部について関心を持った方がもっと早めに今回の不具合を発見していたら、と思います。
“もっと早めに発見していても同じことだよ”ってなるかも知れませんが、今回は7年経っても売主やゼネコン、杭打ち業者がまだ存続していたから救いようがありますが、もしこのうちのどっかが潰れていたら、どうなっていたでしょう?
この7年間で潰れたデべさんやゼネコンさんは沢山あります。
或いは発見がもう20年遅かったら、仮に売主やゼネコンさんが存続していたとしても築後20年以上経過して不法行為責任を問えない状態ではたして、売主さんやゼネコンさんは補償してくれるのでしょうか?
不具合を発見するのは早ければ早いに越したことはありません。

共用部にもっと関心持たなきゃ、です。

共用部の不具合に不安がある管理組合の方はエースマンションコンサルタントへ、と商売人らしく結んでこのつぶやき終えます。

人の不幸を商売にしやがって・・・・・・こちらもアンポンタン