マンション管理士の独り言・・・693

「品確法?品格法?」

品確法とは、「住宅の品質確保の促進などに関する法律」というのが正式名称です。
原則的には瑕疵担保期間が瑕疵ある事を知ってから1年という民法の規定を宅地建物取引業法では目的物の引き渡しから2年に変えることが認められています。
知ってから1年というのは業者にとってかなり重い責任となりますので、引き渡し後2年に負けちゃろう、という意味合いのものです。
ところが昨今の消費者保護の立場から、「住宅の品質確保の促進などに関する法律」が制定され建物主要構造体と雨水の侵入を妨げる部分については建物引き渡し後10年が瑕疵担保期間ですよ、ってなりました。2000年の話です。
10年という期間を短縮することは出来ません。

この雨水の侵入を妨げる部分について、「品格」のない売主がイチャモンを付けてきました。
築8年のマンションですが、最上階の解放廊下上裏から漏水です。
上裏っていうのは、廊下に立って見上げて見える廊下の天井のことです。その売主さんは多少勉強しているようで、“品確法で規定している漏水とは住戸の中への漏水であって、これがマンションならば専有部分と考えられる。漏水個所は解放廊下という共用部分なので品確法の適用はなく、宅建業法でいう2年の瑕疵担保期間となる”って論法です。

そんなの聞いたことがありませんが、念のため国交省住宅生産課住宅瑕疵対策室と福岡県弁護士会住宅紛争支審査会へ電話して確認です。
その2つとも、(公財)紛争処理支援センターへ聞いてくれとのことです。
早速電話しました。その結果が以下です。

① 品確法で想定している漏水とは室内への漏水です。しかしマンションの場合、漏水する
箇所のほとんどが室内(=専有部分)ではなく共用部分となるので、専有部分に限定するとこの法律が有名無実となります。
② 本件でも屋上と解放廊下の防水仕上げが異なっているような場合(例:屋上がアスファ
ルト防水で解放廊下屋上がウレタン塗膜防水)には、品確法で言う雨水の侵入を妨げる部分に該当しないとした判例も少数だがあるにはある。
③本件の場合、屋上と解放廊下屋上の防水仕上げは同一なので品確法で想定している雨水の侵入を妨げる部分に該当します。とのことです。
素晴らしい!さすがに国交省のホームページに相談先として掲載されている団体です。
勉強になりました。

また、ついでに防水メーカーにも聞きました。
防水メーカーは建物竣工時に防水を行った工務店と連名で10年の保証書を提出します。この保証の対象が分譲マンションの場合、専有部分に漏水が発生したときにのみ保証の対象になるのかどうかを聞きましたが、答えは、“専有部分、共用部分にかかわらず保証の対象です”ってことです。
当たり前です。

この品確法の適用にならない、って言った売主さんは「品格」を勉強すべきだ、なんて感じました。