マンション管理士の独り言・・・720

「屋上防水保証」

最上階の解放廊下天井(上裏という)の吹付がヤケド後の火脹れのように垂れて来ました。他の階の廊下天井にはそのような症状は見られませんので、屋上からの漏水が疑われます。早速屋上へ登り検査します。
改質アスファルト防水ですが、アスファルトシートのジョイント部分を踏めば下からギュギュと水が湧き出てきます。明らかに防水層下に水が回っています。
念のため1級建築士と1級建築施工管理技士にも確認してもらって漏水の疑いが大!という報告書をまとめ管理組合経由で売主不動産へ提出しました。
このマンションは築8年ですから、品確法により雨水の浸入を妨げる部位は10年という保証期間内ですし、管理組合に対し売主と防水業者名で10年の保証書も発行されています。

売主不動産は、屋上防水業者と現地確認にやってきました。
つぶやき主も立ち合って状況説明です。
しばらく雨は降っていなかったのですが、ジョイント部分を踏みギュギュと水が湧き出てくるところを2人にも現認してもらいました。

そして後日、売主不動産+屋上防水業者との連名で回答書が届きました。
そこには、「防水層下部には水は侵入しておらず、躯体には漏水していない。また保証する部位は、『住戸内』に限定されており、解放廊下は保証の対象外です。」です。

「水が回っていないというなら1部切開してコンクリート部を確認しようよ。」という管理組合の要請に対し、「水が回っていないのは確実ですからその必要はありません」です。

「じゃ、コンクリート躯体まで水が回ってない事を確認するために管理組合の費用で防水層を切開するよ。そしてもし水が回っている痕跡あれば、キチンと補修してよ。もちろん切開の費用も負担してよ。」と要請しました。
これに対し、「屋上防水は管理組合さんの所有物だから切開するならばどうぞ。当社は切開は行いませんから、他の業者にやらせて下さい。立ち会うのはOKです。
ただし一部でも切り開ければ切開していない部分についても加工を施したとみなし、10年の保証は打ち切りとします。」です。

結局は切開できないじゃん、やれないじゃん、です。
明らかに水膨れしている防水層があるので切り開けようと何度も思ったのですが、1部でも切り開けたらそれ以降保証しないという業者があると聞いていたので、思いとどまっていましたが、それにしても酷い話です。
品確法とか防水10年保証なんて言うのは、キチンとした売主、防水業者であれば守られるが、そうでない業者の場合は絵に描いた餅ってことです。

また防水10年保証と言ったって、住戸内に漏水したという状況のみの場合に保証対象となるって話で、廊下階段への漏水については簡単に首を縦に振ってくれません。
判例なんかを持ち出してのバトルが必要です。
もちろん予防なんてのもやってくれません。少々防水層下部に水が回っていても住戸内への漏水がない限り補修をおこなってくれません。

「ほおっておいたら、漏水しちゃうよ、今のうちに補修しとかなきゃ」
それでも動いてくれないっていうのが感想です。

10年保証、品確法があるから大丈夫!何て決して思わない事です。

これを役員さん、組合員さんへ理解してもらうのはつぶやき主の仕事になるわけですが、いつも貧乏くじ。