マンション管理士の独り言・・・799

「漂流マンション、北九州の実態・・・①」

毎日新聞では分譲マンションの問題点をさまざまな角度から「漂流マンション」として取り上げています。つぶやき主は、以前同誌全国版の「くらしナビ」で“管理組合のサポート”という表題で写真付きで大きく扱われたことがあります。
まだ髪がふさふさしていたころの写真が載っています。眉毛も確認できます。
毎日新聞のマンション問題についての取り組み方については、つぶやき主に聞いてくるなんて目の付け所が良いですね、で一目置いています。

管理不全マンションとして、東京都では512のマンションで、北九州では38のマンションで管理組合がないって、記事になっています。
管理組合がない?管理者管理で管理組合がないのか、或いは管理組合は住民が知らないだけであって法律的には存在していて、管理組合活動を行っていないから管理組合がないと勘違いしているのか?は兎も角として、全く活動していないのは事実なのでしょう。
流石に東京は大都市だけあって、大きな数だな、なんて感心していちゃいけません。
東京都には、おおよそ53,000もの分譲マンションがあるとされています。対する北九州は、1800程度。
管理組合のないマンションの比率は、東京都の1%に対して、北九州は2,1%と一挙に倍以上になっちゃいます。

積立金なしのマンションは、東京都では417で、北九州は96です。
これもマンション全体数で割ると、東京都の0,7%に対し、何と5,3%と約8倍にもなっちゃいます。
東京都を良く見ると、管理組合がないマンションであっても積立金はしっかり徴収しているという努力の跡が見受けられます。
ところが北九州では、管理組合がないマンションでは勿論積立金の徴収はしていない。
それに加えて管理組合はあるものの積立金を徴収していないマンションがなんと50以上もある、という実態が浮かび上がってきます。
“なん、しよっと~”

積立金がないということは、大規模修繕工事を実施しようとすると工事代金の全てを住民からの1時金で賄わなきゃ、となります。
住宅金融支援機構を含めノンバンクであろうと積立金のないマンションには1円たりとも融資をしてくれません。1件当たり100万円超のお金を全員からそうたやすく集められるものではありません。
かくして本当ならば大規模修繕工事を行わなきゃならない時期に実施できずに、スラム化へまっしぐら、って道をたどることとなります。

記事では、専門家を雇うのに費用を捻出できない管理組合も少なくないってありましたが、北九州市では小規模の自主管理マンションが多いことが特徴です。つぶやき主を顧問として迎え入れようとして、お金がないからという理由で何度総会で否決されたことか。
また、独自の悪しき販売方法である、分譲駐車場なんて言うのもあります。この他、竣工時に未販売住戸あれば、それらの管理費や修繕積立金を売主は負担しない、なんていうのもあります。

北九州市は政令指定都市の中でも高齢化率がダントツNO1です。記事にもあるように、マンションでは、マンションという建物そのものの老朽化、更にそこに住む住民の高齢化が問題としてクローズアップされてきている、とあります。
その上、北九州独自の悪しき販売方法が重い荷物として、重く肩にのしかかります。

住宅政策課を始め、マンション売主、管理会社、マンション管理士などが総出で知恵を絞って対策を講じないと、北九州のマンションは大変なことになっちゃいます。

次回は記念すべき800号です。
少し、前向きなことをつぶやきましょう。