マンション管理士の独り言・・・813

「大規模修繕工事時にお金がかかるマンション・・・その2」

前回は屋上に設置しているソーラーパネルや架台について大規模修繕工事時には、それらをどのようにするのかについてつぶやきました。
一旦取り外すとなると、脱着そのものの費用の他に、地上へ下ろす際のクレーン車の費用、さらには仮置き場の確保など大変な作業と出費になる。では取り外さないままの状態で防水工事が出来るのかというと、80㎝の高しかない架台の下へ腰を折り曲げての窮屈な姿勢での作業となり、そんな工事を請けてくれる業者さんがあるのか、またあったとしても工賃は高くなることが予想される、とつぶやきました。

ではどうすれば良かったのか?
簡単です。新築時、架台を設置する際に屋上防水補修の作業も考慮しておれば良かったのです。架台の高さを80㎝でなく、人が作業するのに十分な高さを確保していれば良かったのです。80㎝の架台を2メートルくらいにしておけば作業員は通常通りの作業が行えますし、管理組合さんも余計な出費が抑えられます。
2メートルの高さならばメンテナンス時にちょっとだけ大変でしょうが、ソーラーパネルのメンテナンスはそれほどの頻度で行うわけでもありません。

ソーラーパネルを設置してそこで得られる電力分だけ管理組合さんは共用部の電力費用の削減となるのでしょうが、大規模修繕工事時にソーラーパネルがあることによるコストアップの方が大きければ喜劇です。
地球環境に全然優しくありません。

ハッキリ言って設計士さんの配慮が欠けています。というより、新築マンションの設計士さんには建物のメンテナンスのやり易さについての思考がないのではないでしょうか。
大規模修繕工事の設計監理を行ったことのある設計士さんなら、このような設計は行うわけがありません。

大判タイルを外壁やエントランス廻りに貼っているマンションが増えています。
2丁掛けのタイルに比べ豪華な雰囲気に仕上がります。
ですが、大判タイルに浮きが生じ補修することになると、補修方法が見当たりません。
通常のタイルならば、タイル脳天からピンニングや目地へのエポキシ樹脂注入などで補修を行いますが、大判タイルの場合、タイル脳天からのピンニングではタイルが真ん中あたりから割れてしまいます。目地からの樹脂注入を行おうと思っても、大判タイルの裏側全てに樹脂を染み込ませるなんてことは不可能です。

ではどうすれば良いのか?これも簡単です。新築時に大判タイルが剥落しないように、金具併用で接着すれば良いのです。コンクリート躯体に金具を取り付けそこにタイルを引っ掛けて落ちないようにすればいいのです。
このように取り付けていない大判タイルで浮きが発生したら、どうするのか?
残念ながら貼り変えるしか思いつきません。
また管理組合さんに余計な出費が発生します。

新築マンションの設計士さんは、外観デザインや仕様にはこだわりますが、将来マンションを維持していくにはかなりのコストが発生し、それは管理組合さんの負担になるということを再認識していただかなくてはなりません。
補修しやすいような、補修しても余計な費用が発生しないようなマンションを設計していただきたいものです。