マンション管理士の独り言・・・838

「タイルのストック」

分譲マンションの外壁仕様は、タイルと決まっています。
落下の恐れがある梁底とか、そんなに目立つところでないバルコニー上裏、解放廊下の手すり腰壁なんかは吹付塗装仕上げですが、それ以外はタイル仕上げが相場です。
少ないように見えて外壁タイルは、10種類程度は使用されています。
そしてそのほとんどが、そのマンション用に焼かれたものです。
ですからタイルを貼り変えなきゃならなくなった時に、市販品で似たようなものを見つけて来ても、並べてみると微妙に色具合や濃淡に違いがあります。
また、近くで見ればそんなに違わないと思われても、実際に貼って、遠くから眺めてみると、まだら模様になってしまいます。
そのマンション用に焼成して作ったタイルは、別物ではなかなか代替えが効かないものです。
同じメーカーで同じ品番でも、焼く釜によって微妙に色具合が異なるというシロモノです。

このタイルは、新築後3年くらいはそのマンションの施工を請け負ったゼネコンさんの下のサブコンさんの下の塗装業者の下のタイル業者さんがストックしてくれています。
しかしストック期間も3年くらいが目安です。
3年くらいで廃棄処分です。
いろんなマンションで使用したそれぞれ異なるタイルをずっとストックするわけにもいきません。倉庫がいくつあっても足りなくなってしまいます。

つぶやき主がお世話するマンションで築年数が浅いものについては、このタイルをマンションで引き取ります。
タイル業者さんは喜んで、無料で分けてくれます。
量によっては、倉庫を準備しなければならない時もありますが、それでもタイル貼り換え時にはとても役に立ちます。
上手く行けば、大規模修繕工事時に目立つ箇所にはストックしているタイルを使用し、あまり気が付かないときには市販の類似品で間に合わせることも可能です。
新たにタイルを焼くなど余計な出費を防ぐことはもちろんですが、何より外観がまだら模様にならないというのが1番のメリットです。

この他、エントランス内部に使用したクロスや床材、磁器タイル、陶器タイルなどもストックすることをお勧めします。
これらが欠けたときや、剥がれたりで補修しなければならなくなった時に役立ちます。
管理会社さんを経由してゼネコンさんへ連絡すると、ストックあれば分けてくれます。
一般に新築戸建てやリフォーム時にはそこで使用したクロスなどは、「補修時のためにとっておいて下さい」としてストック分を分けてくれます。
分譲マンションも一緒です。
ただ、誰も気が付きません。

築後まだ浅いマンションの方は、管理会社へ相談することをお勧めします。
結構年月の経っているマンションであっても、在庫が残っているかもしれませんので、相談してみては如何ですか。