マンション管理士の独り言・・・846

「1週間(或いは2週間)」

区分所有法では、総会開催1週間前までに議案書を組合員へ配布すると規定されています。「1週間じゃ短いだろ、もっと前もって知らせてくれなきゃ、総会出席の予定が立たないよ」ってことで標準管理規約ではこの期間が2週間に延ばされています。
どこの管理組合さんでも議案書配布時期は総会前1週間か2週間に設定されています。

組合員はこの1週間前(或いは2週間前)に配布された議案書を見て読んで、出席を決める方や委任状や議決権行使書を提出しようかと決めることとなります。
ところがこの1週間で、何とか気に入らない議案の承認を阻止しよう、としてネットなどで膨大で事細かな資料を準備して総会へ臨む組合員が存在します。

総会の議長は通常ならば理事長が就任します。
役員任期は1年で、しかも1年総入れ替えとしている管理組合が多いというのが現状です。したがって役員はじめ理事長もそんなに管理組合運営に詳しいわけでなく、ましてや区分所有法や管理規約の詳細についてまで分かっている方はほとんどいません。
そんな半ば素人同然の理事長が議長を務める総会で、ネットで調べて多くの知識を得て、資料も準備した組合員さんの専門的な質問が容赦なく浴びせられます。
こんな時のためにつぶやき主がいるのですが、「つぶやき主さんは組合員でもないし、議決権もないのに出しゃばりすぎだ。」なんて発言に釘を刺されちゃったりしていますので、議長に促されない限り発言できません。

専門家が質疑を行い、それに対し答弁するのもやはり専門家というのが、国会です。
その国会でさえ、野党議員の質問は事前に政府側に知らされているのが通例の様です。
事前に知らされておらず、いきなり専門性の高い質問をされれば、いくらその道の専門家でさえ答えに窮することがあるのです。
ましてや管理組合総会での議長(=理事長)は、専門家でも何でもありません。
すぐに返答に詰まります。
「こんな簡単なことに答えられないで、議案を十分に検討したと言えるのか」「当然これはやっているよね。えっ、やっていない。そんなのでよく議案提出したな」なんて追い打ちを掛けられます。
言っている事は、それなりに正しく間違っているわけではないので、他の総会出席者にも正当性があるとしてアピールされます。

委任状や議決権行使書提出者は、ほとんどがその議案には賛成しています。
賛成なのですが総会へは出席していません。出席されていないのでその方達の、“何故その議案に賛成なのか”という声は聞くことが出来ません。
反対者は、何としてもその議案承認を阻もうと勇んで資料を用意して出席し、声高々に反対意見を述べます。
かくして総会では反対意見のオンパレードになってしまうことさえあります。

賛成者は出席せず、反対者ばかりが出席し、理事長始め理事会の頼りなさを口々に言う、という総会が増えているような気がします。

理事長始め役員さんは、自分の時間をつぶし理事会に出席し議論し、皆のために良い議案だと判断し議案提出しているのです。
そんな理事会に対するリスペクトが失われているような傾向になっていることを危惧します。何も決まんなくなっちゃいます。