マンション管理士の独り言・・・881

マンション管理士の独り言・・・881

「同じ売主でも異なる販売方法の理由」

供給意欲旺盛の第一交通産業さんが新たに、「グランドパレス大手町公園」を発売しました。
門司には竣工間近の「グランドパレス門司港オーシャンヒルズ」もあります。
この二つのマンションは同じ売主でありながら大きな違いがあります。
門司と小倉北ですから、立地とか環境とか、利便性なんかは違って当たり前ですが、専門家が見ると大きな違いがあり、その違いを追いかけていくとどっちが好ましいかの答えも自ずと出てきます。

「大手町公園」の方は全147駐車区画のうち、86区画が分譲駐車場です。
一方の「門司港」の方は分譲駐車場は1区画もなく、全てが賃貸駐車区画となっています。

北九州では、分譲駐車場という販売方法を相変わらずやっている売主と、なかやしきさんのように分譲駐車場という販売方法は一切行わない売主さんと、第一交通産業さんや大英産業さんの様にマンションごとで分譲駐車場をとったり、とらなかったりという3パターンに分類されます。

「門司港」や「企救丘」で分譲駐車場という販売方法をとらなかった第一交通さんが何故「大手町」で分譲駐車場をとったのか?

販売の方は、“分譲駐車場のニーズが高い地域です”なんていうのでしょうが、嘘です。
一番の理由は、土地を高く買い過ぎたのです。
土地の仕入れ値が高かったのでその分どっかで回収しなければなりません。
通常は販売価格に上乗せしますが、同じエリアで競合物件があったりすると高い販売価格では競争力がなくなり、好調な売れ行きとならず、どうかすると売れ残ったりしますから、簡単には販売価格には上乗せできません。
そこで駐車場を分譲として販売し、土地代を回収するのです。
同じ売主さんで分譲駐車場をとったり、とらなかったりするのは、土地代が高かったか、高くなかったかが大きく影響しています。
「大手町」では86区画もの多数が分譲駐車場で、価格は250万円から450万円となっています。ざっくりと1区画300万円として2億6千万円の売価となります。
少々土地代が高くても無事に回収できそうです。ヨカッタ、ヨカッタ。

国交省は駐車場使用料は、毎月消費されていく管理費でなく、キチンと積み立てられていく修繕積立金へ充当するよう指導しています。
「大手町」では賃貸駐車区画の使用料が1か月10,000円と設定されています。
仮に分譲駐車場86台が通常のマンションの様に賃貸ならば月に86万円、年間1000万円超、15年目に大規模修繕工事をするとして1億5千万円のお金が修繕積立金として積み立てられていたはずです。

「大手町」に対し「門司港」では全ての駐車場使用料は、管理費財産となっています。(修繕積立金かどうかは不明ですが)
戸数の違いはあれ、「門司港」は「大手町」より修繕積立金の値上げカーブは緩やかなものになるでしょう。
マンションを買うときは、管理組合の経理状況もよく見なきゃ、ですよ。

第一交通産業さんに縁も恨みもありませんが、分かり易い事例だったので取り上げさせてもらいました。販売頑張れ!!!