マンション管理士の独り言・・・883

マンション管理士の独り言・・・883

「孤独死その後」

お世話しているマンションで孤独死が発生したことは以前つぶやきました。
その後、相続人が現れて一段落していますが、まだ解決というわけではありません。
相続人は包括承継人とも呼ばれるように、お亡くなりになった方(被相続人)の財産は勿論ですが債務(借金)も全て包括して相続することになるのです。
仮に財産より借金の方が多かった場合、相続人はマイナス財産を背負い込むことになりますので、債務調査も行うことになります。

更に相続人が何人いるかも調べなければなりません。
相続人は自分だけだと思っていたところ、隠し子がいたなんてことは世間では在りがちな事です。
借金を含め相続財産を調べ、同時に戸籍謄本を追っかけて行って、全員の相続人を調べ、その上でプラス財産の方が多ければ晴れて相続するとなります。
現在は、それらを調査中で、管理組合としては無事に相続してくれることを願うばかりです。

今回は相続人が現れましたが、全てのケースでこの様に現れてくれるとは限りません。
現れない場合の事を考慮して、つぶやき主は関係先に足を運んでヒアリングを行いました。
まずは警察です。
警察では、
・警察は守秘義務があり、第3者はもちろん例え利害関係人であっても事件の経緯や相続人などを教えることは出来ない。電話ではもちろん、正当な利害関係者であることの証明を持って出向いてきたとしても教えることは出来ない
・警察は相続人を探すのではなく、遺体引受人を探す。多くの場合、遺体引受人と相続人とは同一人物である。
・警察は事件性があれば区役所へ戸籍謄本などを請求することがあるが、本件の場合事件性もなく、そのような手配は行っていない。
・弁護士会からの照会があれば、回答することが出来る。

続いて区役所へのヒアリングです。
・管理組合理事長は利害関係人に該当することはわかっている。しかし、①自己の権利を行使する ②国または公共機関へ提出する必要がある ③正当な理由がある 場合に限り住民票や戸籍謄本を発行できます。
・具体的には、理事長が理事長であることの証明のため ①管理規約 ②総会で理事長として承認されたことがわかる議事録 ③理事長本人の身分証明 を持って、更に、①その方に送ったけれど返送された郵便物 ②滞納が始まったという証拠 ③滞納管理費などの督促状 を持参することが必要です。
・それら全てを揃えて窓口へ出向いても、窓口との打ち合わせで発行しないこともあり得ます。との事です。
・こちらも弁護士照会があれば発行します、とのことです。

最後に市役所 地域福祉推進課(いのちをつなぐネットワーク)へのヒアリングです。
・当課は、亡くなる前の見守り活動を主として行うセクションで、亡くなられた後の対応は行っておらず、またそのような事例もない。
・市で本件のような事例について相談する窓口はなく、また当課を通して住民票などの請求も出来ない。

要するに管理費などの債権を有し利害関係人にあたる管理組合理事長であっても、何にも教えてくれない、ってことです。
弁護士に依頼するしか手がなさそうです。これには総会の決議が必要です。
もし相続人が現れなかったり、現れたとしても放棄したときなどは管理組合が動くしかありません。
これ以降の手続きは、日本ハウズイングさんの理事長セミナーで講師を務めた際に詳しく調べています。
また、今度・・・気が向いたら。