マンション管理士の独り言・・・901

マンション管理士の独り言・・・901

「1番館と2番館」

大型プロジェクトで、1番館に続き2番館が建設される予定ならば、買うのは1番館か2番館か?
同じマンションで販売時期をずらす1期分譲と2期分譲の話ではありません。
1期分譲、2期分譲、さらに3期、4期と期を分けて売るのは、完全に販売戦略上のことからです。
全部いっぺんに売り出しちゃうと、沢山のタイプ、価格があって、購入者の目もふらついちゃって、中々住戸を絞り切れない、決定出来ない、ということを避けるためです。
また、仮に売れ行きが悪い場合に、全部売り出していたら、売れていない住戸だらけの様に見えて、ますます売れなくなってしまいます。

今回は1期分譲、2期分譲の話ではなくて、竣工がずれて建ち上がる1番館、2番館のことです。
どちらを買うべきかは、2番館です。1番館を急いで買う必要はありません。
理由の一つ目は、2番館は本当に建つの?ってことです。
1番館の売れ行きが悪いと、当初予定していた2番館を建設せずに、建設予定地を売っぱらう、ってこともよくある話です。
三萩野にあるメガシティ小倉は当初は2番館としてイーストコートを建設する予定でしたが、1番館の販売があまり良くないと判断したのか(そうでもなかったけど)、建設予定地をニトリに売却してしまいました。
ポレスターリーモも当初は2番館を建設予定でしたが、建設予定地を健和会へ売り払ってしまいました。
あくまで2番館は建設予定ということで、1番館の売れ行き状況次第では、建設されないという事もあり得ます。

2番目の理由としては、予定通り2番館が建設されるとしてその工期は階数にもよりますが、2年以上となります。
1番館に入居して間もなく、2番館の工事が始まったら、騒音や振動、ホコリで2年間は悩まされます。2番館ですから1番館の目と鼻の先です。
つぶやき主が以前販売に携わった積水ハウスとの共同プロジェクトの“ヴェルデコート青山”では1番館にお住まいの方からの“うるさ過ぎる。1番館を購入して住んでいる人の迷惑をもう少し考慮しろ”とお叱りを受けたものです。

3番目の理由は、1番館での学習効果が2番館に取り入れられるからです。
1番館で人気のあった住戸、苦戦した住戸、3LDKと4LDKの比率、好評だった設備などを検証し2番館に取り入れることが出来るからです。

4番目の理由として価格も1番館に比べて抑えられる傾向になります。つぶやき主が販売センター長だったころは、インフレも終わりかけの頃でしたが、それでも「今年買わなければ、来年はもっと値上がりしますよ」ってトークが使えました。
現在では、“早く買わないと、値上がりしますよ”なんてトークは現実離れしています。
せめて「消費税が上がりますよ」くらいでしょう。
その消費税にしたって、マンション購入代金のうち土地代金にはかからず建物建設費にだけかかりますので、2%はそんなに恐れる数字じゃありません。
また、1番館での学習効果としてストライクの販売価格がわかりますので、その金額じゃ売れない、もっと下げなきゃ、という力学が働く傾向になります。

さらに5番目の理由として、もし仮に購入して住んでいる1番館を中古で売りに出さなきゃならなくなった時に安くせざるを得ないということです。
2番館がまだ販売中ならば、その2番館在庫と競合することになっちゃいますから金額を落とさない限り売れません。
誰だって、中古より新築の方が良いに決まってますから、金額をソートー落とさないと2番館在庫に負けちゃいます。

「早く買わないと、良い住戸は売れちゃいますよ。」なんて言うトークに惑わされず、1番館の売れ行きを見て、人気のあるプロジェクトだと認識できてからでも希望の住戸は確保できますよ。