マンション管理士の独り言・・・902

マンション管理士の独り言・・・902

「エレベーター着床オペレーション」

もう10年くらいお世話しているマンションです。
100戸超なのでエレベーターが2基あります。
そのうちの1基から異音があり、4月末の総会で巻き上げ機、制御盤などの取換えの承認を得る予定です。
メンテナンス契約はPOG(パーツ・オイル・グリースの取換えは無償だけど、その他の部品取替えは有償)契約なので支払いが発生します。
フルメンテナンス契約ならば、巻き上げ機取換えは無償で出来たのに~。
その分月々のメンテ費用が安く上がっていますから、仕方ありませんが。
総会にはエレベーターメーカー担当者にも出席してもらい説明していただきます。

このマンションは新築後すぐにお世話していますので、築10年です。
10年で巻き上げ機の取換えは早い感じがします(通常は25年くらいかな)。
何故そんなに早く異音発生などの不具合が生じたのかを調査しました。
エレベーターメーカー担当者やメンテ作業員にヒアリングを行ったり、資料の提出を求めました。

通常のエレベーターの平均稼働数は1日につき500回くらいとのことです。
この場合の1回はエレベータードアが開くたびにカウントします。
例えば1階から15階に行く際に、15階までの間、一度も他の階に止まらなければ、15階でドアが1回だけ開くこととなり、稼働数1です。
15階までに各階に着床したならば15回ドアが開きますので稼働数は15とカウントされます。
このマンションでは、稼働数が1日あたり平均800回を超えていました。
1000回を超える日も頻繁にあります。通常の2倍くらいの使用頻度です。

続いて着床システムについて検証しました。
例えば1基が1階から利用者に乗り込まれて10階へ登ったとします。
その際6階に留まっていたもう1基は誰も乗っていないのに、1階へ降りちゃいます。
誰も乗っていないのに6階から1階へ降りるのは不経済のように感じられますが、やはり1階からの利用者が圧倒的に多いので、利用者の待ち時間軽減のために1階で待機するオペレーションになっています。2基のうち1基は常に1階で待機しているのです。
これを、1階に下りずに最終利用のあった階で待っているというオペレーションに変更しようとも考えましたが、これだと利用者の一番多い1階にはエレベーター箱が着床しておらず、待ち時間の増加につながり、利用者の利便性が落ちることになります。

公団のマンションでは、夜10時以降は、目的階までの間の全ての階でエレベーターが一旦止まるというオペレーションを採用しているところもあります。
1階から乗り込んだ方が10階に行くのに、自分一人しか乗っていない状態で10階までの全ての階でその都度止まり、エレベータードアが開きます。
「“まどろっこしい”ったらありゃしない。」ですが、夜10時以降の特に女性の安全対策のためという理由からで、なるほどです。

あれやこれや色々と考えて、利用者の利便性を落とすことなく、経費削減に努めています。