マンション管理士の独り言・・・913

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「新築マンションの近隣説明会」

総会ラッシュの5月の最後を飾るに相応しく、31日には新築マンションの近隣説明会に参加してきました。
顧問としてお世話しているマンションの近接地に新しく分譲マンションが建築されるということで、理事長からのご依頼で参加してきました。

近隣説明会に参加するのは、これで何回目でしょう。
建築会社と建築協定を交わしたり、裁判所に調停を申し立てたこともあります。
弁護士から内容証明郵便を発送してもらったことは、数えきれないくらいです。
その中でも今回のは、近隣住民からの怒りが爆発した強烈な説明会でした。
造成工事を伴っているのですが、近隣へ挨拶のないまま、大型ダンプが家の周りを何台も走り回る、真砂土を積んだまま家の横に駐車している、騒音振動など開発業者の事前説明がないことが主たる原因です。

建物の方は、北九州市の条例「中高層建築物などの建築に関する指導要綱」に基づき、事業主は現場に「中高層建築物等の建築計画のお知らせ」標識設置後、速やかに近隣住民へ説明しなければならない、とされています。
説明対象の近隣は、予定されている建物の高さの1~1,5倍の水平距離の円に入る地域にお住まいの方と規定されています。
説明しなければならない、に関し説明会の開催までは義務付けられていませんので、説明会を開催する事業主もあれば、ポストへ簡単な概要を記したチラシの投函で済ますところもあります。
最近は、地元町内会からの要請がないと、投函だけで済ましてしまう事業主さんが多くなっている傾向です。

土地造成(開発行為)に関しても許可申請を行う前に、地元住民への近隣説明が義務付けられていますが、建物の様にその対象が明確にされておらず、本当に迷惑を被ったお宅へは何の事前説明がなされないことが多いようです。

怒り心頭に達した近隣者からは、「階数を減らせ」「戸数を減らせ」「建築するな」など激しい意見が出されていました。
日本の確認申請制度は、建てようとする建物が建築基準法や消防法、都市計画法などの法律に違反していないかどうかを“確認”するだけのものです。
それらに合致していれば基本的に確認されます。確認後は工事着工となります。
許認可作業ではありませんので、行政の意向が反映されません。
近隣の方の合意や納得も“確認”には求められていません。
説明をして、そこで出された意見を確認申請時に添付すればいいのです。

近隣者の方は、“市役所宅地指導課へ行ってくる。区のコミュニティ整備課へ意見してくる”なんて言っていましたが、基本的に行政に裁量権はありませんので、せいぜい“そのように事業主に言っておきます。もっと近隣の方と話し合うよう頼んでみます”となるのが関の山です。

お互いにもっと法律や条例を勉強して、同じ土俵で議論しなきゃ、怒声が飛び交うだけの双方に何も得られないままの喧嘩別れとなってしまいます。