マンション管理士の独り言・・・915

マンション管理士の独り言・・・915

「不在区分所有者の理事長」

不在区分所有者とは、そのマンションの区分所有者だけど、そこには住んでおらず、住んでいるのは賃借人という、要するに、「自分はそこには住まず賃借人に貸している、自分はその住戸のオーナー」って事です。
始めは住んでいたけれど、転勤で住まなくなり、人に貸しているって場合もあるでしょうし、初めから住むつもりはなく、賃貸収入目的(投資目的)の場合もあります。

以前の標準管理規約では、役員就任要件は「現にその住戸に居住する組合員」と規定されていました。
“そこに住んでいる人が一番そのマンションについて詳しいだろうから役員に就任してね”ってことでした。
ところが賃貸化が進み、そこに住んでいる人だけで役員回しているとすぐに順番が来ちゃう、ってことで標準管理規約でも「現に居住する」って要件を外しています。
これに右に倣えで、「現に居住する」要件を取っ払ってる規約も増えてきました。
市内マンションではまだこの「現に居住する」ってしてるところが大多数ですが、例えば大和DCタワーは、この「現に居住する」って要件は初めからありませんし、新日鉄興和不動産のリビオシリーズでは、「理事長のみ現に居住する」ってなっています。

不在区分所有者が理事長に就任すると、実際に居住している区分所有者との間でトラブルになることが多いようです。
そりゃ、そうですよね。考え方が大きく異なります。
不在区分所有者の方は、行動の指針は“損か得か?儲かるか、儲からないか?”です。
一方実際に居住している区分所有者の方は、“マンションにとっていい事か、悪い事(必要ない事)か?快適になるか、ならないかか?”で判断します。

今月から解禁される民泊についても、現に居住する区分所有者は、“治安・風紀が乱れる”“多くの外国人旅行者が入れ代わり立ち代わり入館されるとオートロックの意味がない”等から大反対です。
これに対し、不在区分所有者は今までのような長期の賃貸より、民泊の方が利回りが圧倒的に良いので、民泊について前向きな傾向にあります。
理事長が不在区分所有者で、民泊OKの考え方の人だと理事会や総会でおおモメにモメます。
また、区分所有者理事長は、不動産関係の方が多いからでしょうが、小さな補修にさえ自分の知っている業者に発注させようとすることが多いようです。
「現に居住する」区分所有者の方は、“長い事市内に住んでいるので、いろんな業者も知っているが自分が居住するマンションの補修には声を掛けない。”って方がほとんどです。
この姿勢は正解です。
上手くいって当たり前、上手くいかなかったら、何て言われるかわかったものじゃありません。

珍しく、「今年度理事長に立候補します」なんて人が現れてビックリしていると、“やっぱり不在区分所有者か”って納得します。
理事長以下役員さんは、不在区分所有者でないことをおススメです。

大阪の管理組合さんから、「マンション管理士の独り言楽しみにしています。」ってわざわざお電話をいただきました。
神奈川や札幌、沖縄から質問をいただくこともあります。
「マンション管理士の独り言」へ訪問される方はうなぎ登りに増えていますが、フィーに結び付かない所がなんとも、もどかしい・・・。