マンション管理士の独り言・・・921

マンション管理士の独り言・・・921

「理事長解任」

「理事長が暴走していて、他の理事の言うことも聞かない。もう理事長を解任するしか方法がない。規約で組合員の5分の1以上の請求で、臨時総会を開催し、そこで理事長を解任したいが、具体的にどうすればいいのか?」なんていう物騒なご相談が立て続けにありました。
確かに組合員の5分の1の請求で理事長に対して臨時総会の開催要求ができます。
これを受けた理事長は4週間以内に総会を開催しなければならないし、それでも理事長が開催しようとしないときは、請求した人が招集権者となって、臨時総会を開催できると規定されています。(標準管理規約第44条)

しかし臨時総会開催の要求は、総会の目的を示さなければならないので、通常は「理事長解任」という議案が示されることになります。
目的を示さず(議案の内容がわからず)ただ単に臨時総会を開催してよ、だけでは要件を満たしていません。
「理事長解任」という議案が示された臨時総会開催の要求を、当事者である理事長はスンナリと受け入れて、総会を開催することはあり得ません。
総会開催の請求を受けとらない、ってこともあり得ます。
また、受け取ったとしても不在区分所有者への議案書の送達先をまず間違いなく、教えてくれません。理事長から指示を受けた管理会社さんも名簿提出を渋ります。
議案書が規約で定められた期間内(総会開催日の1週間or2週間前)に区分所有者全員へ行き渡っていないと、“総会の開催手続きに瑕疵があり、そんな状態で開催された臨時総会は無効だ”などと言われかねません。

つぶやき主はこの5分の1条項で2回臨時総会を開催したことがあります。
理事長は入居者名簿を見せてくれませんので、不在区分所有者全戸分の謄本を取って郵送しました。
総会は有効に開催されましたが、理事長が不在区分所有者からの委任状を取り付けて、「理事長解任」という議案は敢え無く撃沈しました。
1度目の時は、臨時総会では「理事長解任」議案は否決されましたが、翌年の通常総会で理事長は退任しました。2度目のものは、「理事長解任」議案は否決となりましたが、まだ管理組合内部でゴタゴタは続いています。

「理事長解任」のための組合員5分の1請求は、議案化するのもとても難しいし、議案化出来ても適法な総会開催がもっと難しい、さらにその議案を通すのはもっともっと難しい作業です。大変なエネルギーが必要です。

ではどうすれば良いのかというと、まずは監事が招集権者となって臨時総会を開催する方法があります。(標準管理規約第41条2)
監事が理事長、あるいは理事会の活動に不正があると考え、臨時総会を開催するというものです。監事が同調してくれれば5分の1条項よりもハードルはかなり下がります。

もっと簡単な方法は、理事会を開催して理事長を解任すればいいのです。理事長などの役職は理事の互選によって決められています。(標準管理規約第35条3)
総会で理事が選任され、選任された理事は総会後の第1回理事会で皆で話し合って理事長、副理事長といった役職を決めます。(互選)
理事の半数以上が“理事長はその任にあらず”と考えているのならば理事長職を解いて平の理事に降格させればいいのです。
何も理事長を理事から外すというのでなくて、理事の互選で決定した役職を、理事の互選で改めるということです。
ただし、理事の半数以上が理事長解任について賛同していなくては、成り立ちません。

この辺りの手法は、実際に経験したものでなければ思い浮かばないものです。

でもまずは話し合いです。総会が無事に開催できてもできなくても、議案が承認になってもならなくても、どっちにしても禍根を残します。
あまり関わりたくないご相談ですが、「つぶやき主さんしかいません」なんて言われると・・・。