マンション管理士の独り言・・・925

マンション管理士の独り言・・・925

「こんな事、出来ました!」

最近お気に入りのテレビ番組は、「ピタゴラスイッチ」です。
1年前までは、こんな番組があっているなんて全く知りませんでしたが、何かの拍子に見たとたん、すっかり気に入ってしまいました。「ピタゴラスイッチ」フェチです。
その「ピタゴラスイッチ」の後に放送されるのが、関根勤が出る番組です。
「ピタゴラスイッチ」にあまりに傾倒しすぎているためその後の番組に関しては番組名さえ知りません。
写真をつなぎ合わせて人間では出来ないことを、「出来ました、出来ました。人間でもこんなことが出来ました」とやっています。

つぶやき主もマンション管理士業を始めて10年が過ぎちゃいまして、「出来ました、出来ました」シリーズをつぶやいちゃいます。
八幡西区のマンションです。1フロアーに2住戸しかないペンシルみたいなマンションです。以前から最上階に住んでいた方が隣の住戸を買いました。これで最上階はその方のみの住戸しかありません。そして誰もが聞いたことのある大手ハウスメーカー系建設会社にリビングをつなげて2住戸を1つにするリフォーム工事を発注しました。2住戸を1住戸にするには、壁を抜かなければなりません。
請け負った建設会社の設計担当の1級建築士も問題ないと判断し、早速工事に取り掛かり、コンクリートの壁を斫っていました。
コンクリート斫りの大きな音に階下の方が、“何の工事をしているのかな”って見に行くと、何と、コンクリート壁をぶち抜いています。
「何やってるんだ!コンクリート壁をぶち抜いちゃダメだろ」ってことで大騒ぎになり、工事はストップです。
管理組合理事長が工事業者の所属する大手住宅メーカーへ「お宅の工事管理はどうなっているんだ。分譲マンションのコンクリート壁をぶち抜く工事をやってるじゃないか」とクレームを入れ、もう完全に工事はストップしてしまいました。

発注した方からは、「1級建築士まで現地確認して取り払っても問題ないというから工事を発注したのに、何やっているの。早く工事に取り掛かってよ」と催促のクレームです。
請け負った建設会社は、もうニッチもサッチも行きません。
そんな時、“つぶやき主さん、何とかしてよ”ってご依頼がありました。
弁護士などいろんな方面に問い合わせたようですが、どこからも色よい返事はもらえなかったようです。
「総会を開催し、共用部分の重大変更という方法が考えられます」とアドバイスしました。
すがる様な気持ちで、その方法を弁護士にも相談したようですが、弁護士からも“その方法ならアリだな、それしかないな”という回答です。
しかし共用部分の重大変更は4分の3以上の特別決議となりますし、そもそも建設業者さんは総会なんて開いたことありませんし、議案も作れません。弁護士だって同じです。

またまた、つぶやき主に泣きついてきました。
“これってマンション管理士の仕事?”って思いましたが、マンションに関することですし、管理組合のためにも何とか解決しなきゃ、です。
理事長はじめ役員の方へ頭を下げて説明して回りました。
こんなことで理事会が総会議案なんて作ってくれるわけがありませんから、すべてつぶやき主の仕事です。
何度も何度も理事長に時間をとっていただき、打ち合わせを重ね、議案が完成しました。
総会日程も決まり、会場手配もつぶやき主が行い、議案書配布です。
何としても4分の3以上の賛成を得なければなりませんから、議案書配布に際しては組合員の方へ直接手渡しです。
その折、しっかり説明し、何とか議案に賛成してくれるよう頭を下げます。

こうして総会が開催され、4分の3をはるかに超え、全員賛成でこの議案は承認されました。
議事録作成についても、半ば嫌がらせのような扱いを受けながらも成案させました。
その後補強工事を行い、リフォーム工事も予定竣工日には大幅に遅れたものの、何とか引き渡すことが出来ました。
何度頭を下げたことでしょう。大変な案件でした。

「出来ません。出来ません。誰にもこんな事できません」
ですが、「出来ました。出来ました。つぶやき主ならこんなこと出来ました」です。
次回はもっと強烈。