マンション管理士の独り言・・・979

マンション管理士の独り言・・・979

「テレビコマーシャル」

テレビ番組はニュース以外ほとんど見ないのですが、2つの気になるテレビコマーシャルを目にしました。
一つは、どっかの管理会社さんのCMで、「売主系列の管理会社だからシッカリと管理が出来て安心」というやつです。
これって、本当???

管理会社は管理組合と管理委託契約に基づき、管理を行いその対価を得るというのが生業です。
ですから本来は管理組合の立場に立って、管理組合の利益を第一に考え行動しなければならないのですが、親会社である売主の顔色ばかりうかがって、管理組合の苦情などを言いくるめようとすることを良く見かけます。
また管理会社のフロントマンが管理組合からの要望を売主に持ち込んでも「いう事をきいてくれない、“そんな苦情を売主に持ちこまないで何とかするのが管理会社だろう”なんて上から目線で言われちゃいました。もう自分ではどうすることも出来ません。管理組合から直接、売主に伝えて下さい」なんて弱音を聞くことも結構あります。
「売主系列の管理会社だからシッカリと管理が出来て安心」というフレーズは、確かに一見すると管理組合の要望や苦情がダイレクトに売主へ伝わるように見えますが、そんなことはない!というのが現場に携わる者の印象です。
こんなの業界の常識です。

続いてはつぶやき主がかつて勤めていた新日鉄興和不動産です。つぶやき主が働いていたころは、日鉄ライフという社名でその後新日鉄都市開発となり、現在の新日鉄興和不動産となっています。
「資産価値の下がらないマンションNO1」らしく、魚屋さんで買い物客と店の主とが“下げる、下げない”でやり合っています。
小倉駅構内のワイドスクリーンでも放映されていましたのでビックリしちゃいました。
CMとしては面白いのですが、感心しません。
そもそもどういう基準で、何をもって資産価値が下がらないと言うのか不明で、もしその言葉を信じて購入した人が将来売り出した時に下がっていたら責任取ってくれるのでしょうか?
“10年後に中古で売り出した際に、新築購入時より20%以上売り出し価格が下がったらその分は保証します”というのなら分かりますが、あまりに無責任な広告だと感じています。もし“保証してよ”って言ったら、“10年後に中古で売り出す際の金額なんて、その時の景気や市場環境、株価、税制などいろんな複合要因が絡み合って決まるものです。それを今の時点で保証できるわけないじゃん”と言われちゃいます。正論です。
では、今資産価値が下がらないって言ってるのも今現在の瞬間的なものでそれが来年も再来年も10年後も資産価値が下がらないマンションNO1,と何故言えるのでしょう?

商売じゃないのですから終の棲家となるマンションを“損か得か?”“資産価値が下がるとか、下がらない”とかで選んじゃいけません。
マンションデベさんは、建物本体の良さで勝負しなきゃ。