マンション管理士の独り言・・・998

マンション管理士の独り言・・・998

「イギリスEU離脱と宅配ボックス」

無理やり結び付けた表題ですが、イギリスがEU離脱問題で揺れています。
離脱方法次第では単に経済問題にとどまらずアイルランド独立問題にも直結するようで、根が深いものがあるようです。
元々は、EUに留まるのか、離脱するのかを国民投票にかけたことが始まりです。
結果は僅差とはいえ離脱が多数を得ました。
まさか離脱の方が多いとは思っていなかったようで、その時のブレア首相の驚いた顔が印象的でした。それから離脱へ舵をとり、EUとの交渉が始まっています。
ところがこの交渉が難航を極めており、メイ首相がEUとの間で、妥協に妥協を重ね何とか合意案を作り上げますが、下院に2回も否決されちゃいました。
今になってイギリス国民の多くが、“離脱するのがこんなに大変だとは思わなかった”“いろんな方面にこんなに影響が及ぶのが分かっていたら、離脱に賛成なんかするんじゃなかった”など虫のいいことを言っています。

小倉北区の管理組合さんで、“宅配ボックスの数が少ない。もっと増やしてほしい”とのご意見が寄せられました。
メーカーに聞くと、世帯数7~8戸に対し1ボックスくらいが適正な数のようで、この管理組合さんの戸数では15ボックスが適正となります。
現在は6ボックスしかありませんので、全く足りていないようです。
この6ボックスの保守メンテナンス費用が年間220,000円もかかっています。
それを9年近く支払ってきて、この間の宅配ボックスメーカーさんの出動はたったの1度きりです。
事故自体は年間数件ありますが、その大半は解除カードの紛失です。
またちょっとした不具合は管理人さんで治せる程度のものでした。
この保守メンテナンス費用が勿体ない、ということで、ボックスの解除を今までのカード式からダイヤル合わせ方式に変更し、ボックスの数も増やすこととし、アンケートを実施しました。
ダイヤル合わせ方式ならば、保守メンテナンス費用は必要ありません。

アンケートでは多くの方が、ボックス増設に賛成です。
しかし、その中で“カード式からダイヤル合わせ方式では、盗難などが増えるのではないか?人為的エラーが増えるのではないか?”というご意見が寄せられました。
このご意見について理事会で協議しました。
そして、“カード式からダイヤル合わせ方式へ変更すると安全性が落ちるということを皆さん知っているのでしょうか?そのような安全性が落ちるということを知らせてアンケートを実施すべきだったのでは?”というご意見が出されました。

これについてつぶやき主の意見です。
「宅配ボックス増設について、興味のある方もいれば全く興味のない方もいます。興味のある方の中でも、しっかり情報を集め検討して結論を出された方もいれば、ただ単に個数が増えればいいや、と考えた方もいます。情報レベルやそのことについての知識・関心の深さが違うという前提で行われるのがアンケートです。対象の方の知識・関心の深さを一定基準まで持っていってアンケート実施というのは時間がかかりすぎ不可能に近いと考えます。
また、安全性が落ちるなどという文言を付けてアンケートを実施すると、賛成・反対どちらかの答えに誘引するような印象を持たれてしまいます。単純な文言の方が公平性を確保できます。」です。

イギリスはEU離脱について、そもそもこんな大事なことをアンケートすべきだったのでしょうか?
アンケートの実施は、民意を問う、民意を反映するって思われていますが、本当にそうでしょうか?
一旦実施されると「民意・多数意見」として独り歩きしちゃって、制御できなくなる時があります。
管理組合でもよ~く考えなきゃ、です。