マンション管理士の独り言…575

「深目地」

オーストラリアでは外壁にタイルを貼る事は落下したら危険という観点から禁止されていますが、日本では外壁にはタイル貼りというのが相場です。
高級マンションでは、「外壁総タイル貼り」なんていうのをキャッチにするほどでタイル貼り=高級と言うイメージです。

タイルの貼り方も大きく2通りあります。
上下左右のタイルと仕上げ面を同一にする浅目地というものと、外壁面から1枚1枚のタイルの厚みを際立たせて見せる深目地というものです。深目地は、呼び名とは逆にタイルの奥底にだけ浅く目地でつける工法です。
浅目地の方は、タイル1枚1枚の厚みは隠れてしまっていますが、深目地の方はタイルの存在感があり高級なイメージとなります。

しかし、どちらが接着強度があるかって言えば、浅目地は目地がタイルの厚み分しっかり貼り付けモルタルで固定されていますが、深目地の方はタイルの底部で貼り付けモルタルにくっついているだけなので、当然ですが、浅目地の方が強度があるに決まっています。

さらに浅目地の方は、上下左右のタイルと目地によって一体化されてますので、仮に1枚が剥離したとしても、面で保持されてますからそう簡単に1枚だけが剥離~落下とはならないって事となります。

大規模修繕工事の際に、外壁タイルの補修工事が発生しますが、この補修方法も浅目地と深目地とでは異なります。
浅目地の場合は、上下左右のタイルが面として接着強度を保有していますので、目地にアンカーピンを打ち込む方法でも対応できます。
これに対し深目地は両隣のタイルとはほとんど隔絶されていますので、基本的にはタイル1枚1枚に直接アンカーピンを打ち込む工法となります。
職人さんは“脳天打ち”といいます。
キラーコワルスキーの得意技のパイルドライバーみたいな感じです。

深目地は“見てくれ”はいいのですが、接着強度があまり強くなく、補修方法も限定され、その分費用も高くつく事になります。

タイルの貼り方もそうですが、タイルに至るまでの間で、コンクリートに直接貼り付けモルタルでタイル貼りというのもあれば、コンクリートに下地モルタル、その上に貼り付けモルタル、そしてタイル貼りというしっかりとした工法としているものもあります。

コンクリート面に貼り付けモルタルを塗り込む際にも、コンクリート表面がツルッツルでは摩擦が少なく剥げやすくなります。コンクリート面の表面処理をしっかり行っていないと将来剥離しやすくなります。
見てくれだけでなく、目には見えないけどしっかりした工法の建物がお勧めです。

素人にはそんな事分からないじゃん。建ってしまえば確認しようがないじゃん。ごもっともです。つぶやき主にもわかりません。
でも適正な工期かどうか?引渡しを急いでいないか?くらいは判断できるっしょ。

キラーコワルスキーの得意技はニ―ドロップだったような?
パイルドライバーは、ジンキニスキーだったかな?