マンション管理士の独り言…582

「共用部分」

小倉北区の管理組合さんからのご依頼で今度の金曜(5日)、共用部分の2年点検を実施します。これは宅建業法による2年の瑕疵担保期間内に共用部に不具合あれば、売主さんにキチンと補修してもらおう、そのためには専門家へ調査点検してもらわなきゃ、とこの管理組合さんがお考えになったものです。

総勢6名で検査します。マンション管理士2名。1級建築士2名。そして設備業者2名です。
設備業者の方には、雑排水管や雨水管へファイバースコープを入れてもらって脱管がないかや、管内部の調査を行ってもらいます。
マンション点検調査と大規模修繕工事の設計監理+合意形成に関しては北九州では最強のメンバーではないかと、自負しています。

点検調査するのは共用部分ですが、法律的には共用部分にも2種類あるって知っと~や?
法定共用部分と規約共用部分です。
法定共用部分というのは、誰が見てもマンションの共用部分だとわかるもので、例えば、開放廊下、屋外階段、エントランスホール、柱、梁、外壁なんかもそうです。
これらについては、登記の必要もありません、というより登記できません。

これに対して、規約共用部分というのは例えば集会室、管理人室などでそのもの独自で売買の対象となりえる形態を備えている部分を言います。
規約共用部分は、登記しなければ第3者へマンションの共用部分だと言い張ることが出来ません。(第3者対抗要件を具備しない)
その登記は、保存登記までは行う必要がなく、表示登記だけで良いとされます。
表示登記さえ行っていれば、第3者へ対してこの集会室はマンションの共用部分だという事が出来るってことです。

この共用部分が最近増えています。
集会室や管理人室は当然としても、宿泊設備や各種遊戯室なんかがそうです。
これらの豪華な共用部分がついているマンションを購入しようとする際の注意事項です。
①本当に必要な設備かどうか?それらがあるために1住戸の販売価格は確実にアップしています。お金を払ってでも必要な設備かどうかを考慮しなくちゃ、です。
②それらの管理に要する費用は毎月の管理費から支出される。これら設備があるのでその維持管理分だけ確実に管理費負担が増えています。
③しっかりした運営細則があるか?宝の持ち腐れではないのですが、折角の設備なのにキチンとしたルールがないために使われていない、或いは複数人が同時に申込み混乱するなんてこともあったりします。
④規約共用部分なので、表示登記をするかどうかを確認してください。へっちゃらで「規約共用部分については登記しません」なんて重要事項説明書に記載している業者もあったりしますので驚きです。
悪意の第3者へ売買されちゃって、管理組合さんが大弱りなんて事件も発生していたりします。

マンション管理士からすれば、共用部分の充実したマンションというのはあまりお勧め出来ませんね。
トラブルの種になる場合が多いようです。
規約共用部分で必要なものは、集会室と管理人室くらいで十分かなって、思っています。