マンション管理士の独り言・・・1122

マンション管理士の独り言・・・1122

 

「ザ・サンパークシティ守恒」

 

管理規約作成について売主さんには2タイプがあります。

一つはそれまでの管理規約を物件名称のみ変更してそのまま使い回しする売主さんです。駐車台数や共用部分に違いがあればそこは変更していますが、基本的にそれまでの書類のままです。

以前の物件名称が訂正されずに所々に残っていて、笑っちゃうことがあります。

もう一つは物件ごとに管理規約など重要書類の内容を見直す売主さんです。

大手デべさんは大体このタイプですがご当地では大英産業さんが代表格です。

大英産業さんの管理規約や使用細則は、それまでとゴロっと内容が変わるので検証するのも大変です。

 

ザ・サンパークシティ守恒もそれまでのザ・サンパークシティ黒崎の管理規約や使用細則の内容が大きく異なっています。

一番大きな違いは、総会での普通決議成立要件です。

ザ・サンパークシティ黒崎までは区分所有法に従って、議決権総数の過半数でしたが、ザ・サンパークシティ守恒からは区分所有法ではなく標準管理規約に従って総会出席者の過半数、とハードルが下げられました。

字面で見ればたいした違いではないようですが、実務上は大きく異なります。

区分所有法で定められた普通決議成立要件の「議決権総数の過半数」というのは守恒(200戸)の場合、200に対しての過半数ですから101という賛成票が必要となります。

 

これに対して標準管理規約で定められた普通決議成立要件は、総会出席者の過半数の賛成です。

守恒で見ると、200戸あるので総会が有効に成立するための定足数は半数以上となり、100の出席が必要です。

100の出席があればその総会は有効に成立したとなりますが、出席者のカウント方法は、実出席者+委任状提出者+書面決議者を足したものです。

そして普通決議成立要件は、この出席者の過半数ですから最小の場合、51の賛成でその議案は成立となります。

守恒では黒崎の半分の賛成数で成立となっちゃいます。

 

誤解のないように付言しますが、このことが何も悪いと言っているわけではありません。

区分所有法通りでは決議要件のハードルが高すぎるからという理由で、標準管理規約は出席者の過半数としているのです。

北九州の売主さんの全ては標準管理規約通りの出席者の過半数としています。三菱地所さんや積水ハウスさんもそうです。

それだけに少しでも多くの賛成票を集めようとする大英産業さんの心意気には感心していました。今までが特別だったのが、フツ~に、一般的に、なるだけです。

 

また、リビングにある住宅情報盤は黒崎では専有部分とされていましたが、守恒では共用部分と変更されています。

住宅情報盤は、火災報知機や非常ベルなども内蔵しているので専有部分でなく共用部分として管理組合が維持管理を行うことが望ましいと思っています。

 

内容の詰まったいい管理規約です。しかし、それまでと内容やフォームがゴロっと変わるので、読みこなすのが難しい。大変です。